白いドレスに白いスーツ

周りは幸せムード一色

花束なんか用意しちゃったりして

あ、あと大きなケーキも

みんな綺麗に着飾ってて

片手には幸せな二人を撮ろうとカメラを持ってる人もいる



「ねぇ…」

「何?」

「私いますっごく幸せ」

「うん。俺も」



ふわっと柔らかく笑う彼女は本当に綺麗で、俺なんかが彼女と結婚して良かったのかと不安になる
ある種のマリッジブルーの様な気持ち
新生活に対する不安がないわけじゃない
昔の様に悪戯ばかりする分けにはいかないし、一家の大黒柱としてしっかり仕事して稼がなきゃいけないし、何があっても彼女を守れるかとか…不安は尽きない
けど俺は彼女と結婚する。いや、結婚したんだ
難しいことなんか考えずに、彼女が『好き』それだけの気持ちで充分だと思った
彼女が俺を愛して俺が彼女を愛しているのならそれでいい



「早く逢いたいな」

「ん?」

「ふふふ、」



彼女はまだ平らなお腹を愛おしそうに撫でた
今はまだペッタンコだが彼女のお腹には新しい命が宿っている
俺と彼女の子供だ



「女の子がいいな」

「私は男の子がいいなー」

「男の子でもいいけど初めは絶対女の子がいい!ほら、一姫二郎とか言うじゃん」

「一姫二太郎ね、まぁ元気に生まれてきてくれればどっちでもいいわ」

「そうだな」



今は結婚の二次会のパーティーの最中
みんなどんちゃん騒ぎで笑いが堪えない



「ねぇ、俺と結婚してよかった?今ならまだ間に合うよ」

「結婚したいから今私はここにいるのよ?式も終わったばかりなのに何言ってるの!それともジョージはもう離婚したいのかしら?」

「ち、違うって!俺なんかでいいのかなって…」



俺が慌てて否定すると彼女は
口に手を宛ててクスクス笑った



「私ね、今幸せいっぱいだけど一握りの小さな、小さな不安もあるの」

「うん」

「まだちゃんと子供育てられるかわかんないし、新生活に不安があるけど…」



彼女は騒ぎまくるみんなを見ていた目を俺に向けた
俺はさっきからじっと彼女を見ていたので当然見つめ合う形になる



「貴方が一緒に居てくれるから、ジョージが傍に居てくれるから…私は大丈夫だし幸せだよ」



彼女は目を細めてふわっと笑った



「俺も」

「ん?」

「俺も不安だらけだけどお前がいるから大丈夫だと思えるし、息が詰まるくらい幸せで胸いっぱいにもなる」

「うん」

「ちゃんと守るから、お腹の子も俺の妻も」

「ふふっ、しっかりね!ア・ナ・タ!」






090731

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