5月5日
ゴールデンウイーク
学校が休みの日


本来なら休みなど関係なく、学校に行ってやらなければならない風紀の仕事をやりたいところだが
今日は僕の誕生日ということで、草壁の(余計な)計らいで昨日仕事が全て終わってしまったため今日はすることがない


誕生日だからと云って特別何かをするわけでもないので、もうすぐ昼になると云うのにだらしなく僕は黒いパジャマを来て寝ていた



ピーンポーン


「………。」


ピーンポーン ピーンポーン


「………。」


ピピピピーンポーン


「………。」


ピピピピーンポポポポーン


「………。」


ピン…バンッ!「五月蝿いよ何なの咬み殺すよっていうか死ね」



暫く無視して寝ようとしていたがあまりにも五月蝿いので僕は勢いよく玄関の扉を開けて文句を言ってやった
だいたいピピピピーンポポポポーンなんてチャイムをどう押したら鳴るのか不思議でならない



「もう!恭弥くん居るならちゃんと出てよっ!あれ?まだパジャマ着てるの?もうすぐお昼になるよ?」

「……何しに来たの」



この女は僕の幼なじみで唯一僕と対等に話せる人物だ
名前はたまに家に来ては勝手に上がって遊んで行く
嫌なわけでもないのに僕は素直になれなくてついつい冷たくしてしまう



「恭弥くんお昼食べた?」

「まだ昼になってないのに昼食なんて食べるわけないでしょ。そして何故君は家に上がってるの」

「じゃあ私が今からお昼作ってあげるから待っててね!」

「君は人の話が聞けないのか今すぐ耳鼻科に行けそして帰って」



まったく…勝手な奴だ
自由奔放と言うかなんと言うか…
別に悪い奴ではないので嫌いではないが。寧ろ好…いやいや今のは間違った何でもない
誰だ今嘘だっつった奴
出てこい咬み殺してやる
僕が名前を好きとか絶対無いから違うからマジで違うからねっ!



名前は椅子にかけてあった黒のエプロンを勝手に身につけると鼻歌を唄いながらキッチンに立って料理を作っている


何がそんなに楽しいのやら




「あ、恭弥くんケチャップ無いんだけど」

「何言ってんのちゃんとあるよ。この間買ったから」

「えーだっていつもの場所にケチャップ無いよー」

「ケチャップ無いと駄目なの?何作ってんのオムライス?」



僕がソファーから立ち上がってキッチンに行こうとしたら止められた



「入っちゃ駄目!」

「…何で、ここ僕ん家のキッチンなんだけど」

「今は入っちゃ駄目!で、ケチャップどこに閉まってんの?」

「……棚の右側のとこ」

「ん〜…?あ、あった!あった!もういいから恭弥くん向こうで座ってて」



何なんだこの扱い…
ここ僕の家なんですけど
僕今日誕生日なんですけど



「出来た!恭弥くーんご飯食べよ」

「僕まだパジャマなんだけど…」


「食べてから着替えればいいよ!」



そう言ってニコニコと名前が笑いながら運んで来たのはハンバーグだった



「お昼からハンバーグって…」

「今日は恭弥くんの誕生日だからね!」

「なんだ、覚えてたの」

「あたりまえだよ!何年一緒にいると思ってるの!」

「うん…」

「食べよ食べよ!」



向かい合って座ってニコニコと笑う名前に素直にありがとうって言えない僕
名前が僕の誕生日を覚えていて、それを当たり前と言ってくれたのが嬉しかった
名前が僕のためにハンバーグを作ってくれて嬉しかった
普段も絶対に素直になんかなれないけど今日くらい素直になってみようかな



「…名前」

「なあに?」

「ありがとう」

「うん!恭弥くん」

「何?」

「生まれてきてくれてありがとう来年も一緒におうね」







そう言って笑った名前
髪もボサボサでパジャマ姿な僕だけど来年こそ告白して恋人として二人で過ごせたらいいな、なんて密かに思ったのは名前には内緒だ



end


Happy Birthday雲雀くん!
ニセヒバでごめんなさい難しいぜ雲雀!


090505


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テーマ「人外ファンタジー」
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