「あ、居たいた!やーまーだーはーなーたーろーうー!」



遠くから四番隊舎にいる僕を見つけて名前を呼ぶ名前さんは右手に白い箱を持ち、満面の笑みで僕に向けて頭の上で大きく左手を振っている
あの、そんな嬉しそうに手を振るから今すぐそっちに行きたいのは山々なんですけど僕、瞬歩使えないんです……。



「もうっ!花、遅いからあたしから来ちゃったよ!瞬歩くらい使えるようになりなさいって何度も言ってるでしょ!」

「…ごめんなさい(なんで僕は怒られてるんだろう…)」

「あーそんなことより花、今日は誕生日なんでしょ?」

「え?誕生日?…あ、ホントだ」



丁度手に持っていた今日が最終提出の書類に目を移すと、そこには最終提出4月1日と記されていた
最近は四番隊が休む間もないくらい忙しくして時間の感覚なんてなかった
現に僕は目の下に大きな隈が出来てるし体力だって衰えてフラフラしてる
けどその忙しさも今日で終わったし後はこの書類を提出するだけだ



「え、えぇ〜……忘れてたって、えぇ〜……」

「すすすすいません…」

「別に忘れてたんならそれでいいからそんな謝んないで!ほら!あたし現世に行ってケーキ買ってきたんだ!」

「ケーキ…?」

「うん!あのね現世では誕生日にケーキを食べるんだって」

「へぇー…」



わざわざ僕のために現世まで行って来てくれたんだと思うと暖かい気持ちになってちょっと疲れが和らいだ気がした



「誕生日プレゼントは何がいいか分かんなかったから今度一緒にどっか買い物行こう!」

「え!?そんなの悪いですよ!それにその気持ちだけで充分ですよ!」

「何言ってんのそんな青白い顔して!外に遊びに行かないからそんな青白い顔になるんでしょうが!」

「(疲れてるから青白い顔してるだけです……。)」

「卯ノ花隊長に花に休み下さい!って言ってくる!」



名前さんはホントに卯ノ花隊長の所に行こうとするので書類の束を脇に抱えて必死に名前さんの死覇装を引っ張って止める



「離してぇーー!!」

「いいいいいですよ…!!あの、ホントいいです!あ、じゃ、じゃあ今日は仕事終わったら一緒にケーキ食べて何かして遊びましょう!それが誕生日プレゼントと云うことにして下さい!」

「…………。」

「…………。」

「…ホントにそんなのでいいの?」

「はい、」

「よし!分かった!じゃあ今日は仕事終わったらあたしの部屋に集合ね!」



そう言って嬉しそうに笑う名前さんを見ていたら誕生日も捨てたもんじゃないと思った
仕事が終わるまでは―…



「名前さ〜ん……もう寝ましょうよー…」

「だめ!もう一回!負けっぱなしじゃ悔しい」

「トランプならいつでもやってあげますからー…」



仕事が終わって名前さんの部屋に通され、ケーキを食べたが疲れた体にケーキは気持ち悪過ぎた(は、吐く…!!)
日付が変わって2日になっても名前さんは寝かせてくれない(いやらしい意味じゃないですよ)



「名前さん…僕2日続けて徹夜だったんで今日寝ないと死んじゃいそうです……」

「いやー!また負けた!何で!?花もう一回!」

「(こ、殺される…!!)」



end


HappyBirthday花太郎!

090401


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