人生初の彼女が出来たのは約一ヶ月前




「名前ちゃんまだかな…って、あーっ!銀さん!名前ちゃん来るんだから汚さないで下さいよ!」

「お前は一ヶ月前から名前ちゃん名前ちゃん名前ちゃん名前ちゃん!ヒヨコかテメーわ!」

「いや、意味わかんないんですけど」

「だいたいおかしいネ!お前みたいな芋眼鏡にあんな可愛い彼女ができるなんて!」

「芋眼鏡って……」

「ツラはいいが性格はドブス!とかかと思いきや性格まではなまる満点じゃあねぇか」

「ホントですよねー」

「きっとあのブリブリ女(エロメス)みたいに新八を騙してるに違いないアル!」

「はぁ!?ちょ、神楽ちゃん!名前ちゃんはそんな人じゃないよ!」

「わかんねぇぞ〜?だいたい考えてみろ、お前みたいなダメガネと付き合って名前ちゃんにどんなメリットがある」

「そ、それは…」

「名前はホントに新八を愛してるアルカ〜?」

「くっ…!」

「そこでぇぇぇえっ!」

「な、なんですか…」

「私達が名前をテストしてやろうじゃないか!」

「テストって何…ていうか神楽ちゃん標準語」

「人としてどうなのか!新八の彼女として名前ちゃんが相応しいなか!それをテストするんだよ!」

「なんですかその姑の嫁いびりみたいなテスト!その前にお前らみたいな奴らに人としてどうなのかなんて言われたくねぇよ!」



ピンポーン



「!」

「来たアル!」

「ほら!新八、連れて来い!」



そう言って銀さんに僕は居間から蹴り出された
蹴られたところを摩りながら戸を開けるとそこには今日も可愛い名前ちゃんが



「こんにちは」

「こ、こんにちは」



ぎこちない笑顔を返して名前ちゃんを家に上げ居間に通す



「あ、銀さん神楽ちゃん。こんにちは」

「ちわ〜」

「こんにちは」



ニコニコ笑う名前ちゃん
ヘラヘラ笑う銀さん
ニヤニヤ笑う神楽ちゃん



「いいか新八。これからテストするからな」

「やっぱり止めましょうよ。名前ちゃんは人としても凄くいい子ですよ!」

「何言ってんだよ!乗り掛かった船だろ!最後まで乗ってけ!」

「あんたらが無理矢理乗せたんでしょうが!」



因みに今の会話は全て小声で行われている



「新八くん?」

「え、あ、えっと、あ!そ、それ何!?」



僕は慌てて名前ちゃんが持っていた大きな風呂敷を指した



「あ、これ?万事屋は最近毎日毎食卵かけご飯だって言ってたでしょ?差し出がましいと思ったんだけど…」



名前ちゃんは机に風呂敷を置くとそれを開いた
出てきたのは重箱



「神楽ちゃんだって伸び盛りだし、あの、それで…お、お弁当作ってきたの」



そう言うと名前ちゃんはちょっと小首を傾げて照れたように笑った



「めっ…!めっちゃいい子だよー!めっちゃいい子じゃねぇかよー!俺らのためにお弁当だよ!?胸打たれねぇ男子はいねぇよー!」

「ほら!だから言ったじゃないですか!」

「ま、まだアル!蓋を開ければ出てくるのは可哀相な卵焼きかも知れないネ!」

「可哀相な卵焼き作れる人なんて姉上だけだよ」



さっきも言ったが会話は全て小声で行われている
神楽ちゃんは僕の言うことなんて無視して蓋を開けた
現れたのは見るからに美味しそうなお弁当



「めっ…!めっちゃ美味しそうアルー!めっちゃ食欲そそる匂いアルー!料理出来る女の子はポイント高いネ!」

「名前ちゃんはお菓子作るのも上手だよ」

「ま、ま、まだだ!見た目がよくても味はダークマターに匹敵するマズさかもしれねぇ!」

「ダークマター並のマズイもの作れる人なんて姉上だけですよ」



くどいようだが会話は全て小声で行われている
銀さんは僕の言うことなんて無視して料理にを食べた



「めっ…!めっちゃうめぇよー!めっちゃうめぇじゃんかよー!味、見た目、匂いまで完璧じゃあねぇか!」

「さっきから名前ちゃんは料理上手だって言ってんじゃないっすか」

「ままままだアル!」

「え、まだやるの?」

「コレが最後ネ!」



謎の汗をたっぷり浮かべた神楽ちゃんはソファーに座りお茶を飲む名前ちゃんの隣に座った



「ん?なあに、神楽ちゃん」

「名前は知ってるアルカ?」

「何を?」

「新八がお通ヲタクだって」



名前ちゃんの横に座った銀さんは神楽ちゃんが言うよりも先に言った
てか何この僕のポジション
名前ちゃんの両脇にバカ二人
真正面に僕って…何このポジション



「あぁ、確か親衛隊の隊長さんしてるんだっけ?」



ね?っと名前ちゃんは僕に笑いかけた
ふっ…銀さんも神楽ちゃんも甘かったね
名前ちゃんには既に僕がお通ちゃんの大ファンってことはカミングアウト済みなのさ!
それでも名前ちゃんは引かずに付き合ってくれてるんだよ!



「じゃあ新八の部屋行ったことあるか?」

「道場には何度かお邪魔したけど部屋はまだ行ったことないです」



当たり前だよ!僕ら付き合い出して一ヶ月っつってんだろ!
清く正しいお付き合いをしてんだよ!腐れ天パめ!



「あぁーじゃあ知らないアルカ」

「ん?」

「新八の部屋がどんな有様か」

「!」



ま、まさか奴ら部屋の様子を明かすつもりじゃ…!!!
確かにお通ちゃんのファンであることはカミングアウト済みだが部屋がグッズやポスターで溢れ返っていることはまだ言えていない!
エロ本とかは無いにしろ彼氏の部屋が違う女性(のグッズ)で溢れ返っていたら誰だっていい気はしない…くっ!



「新八の部屋はお通のポスターやフィギュアでいっぱいアル」



あぁっ…終わった
もう嫌われちゃったよ…
名前ちゃん、たった一ヶ月だったけど楽し……



「新八くんお通ちゃんの大ファンだもんね!」



あ、あれ…?



「ね、寝るときとかお通の抱きまくら抱いて寝てんだぜ?」



こ、これは終わった!
お通ちゃんの等身大の抱きまくらは僕の宝物だけど一般から見たら引かれること間違い無しの代物
名前ちゃんだって流石に引い…



「新八くんも抱きまくら無いと寝られないの?実は私も抱きまくら無いと寝られないんだー」



あ、あれ…?
引いて…無い……?



「そ、そこじゃないでしょぉぉおっ!!!」

「え?」

「いやいやいや!え?じゃなくて!」

「彼氏が違う女抱きしめて寝てるアルヨ!?」

「神楽ちゃんっ!誤解を言うような言い方やめてよ!」

「事実じゃねぇかぱっつあん」

「事実じゃありません!抱きまくらですっ!」

「それが気持ち悪いネ糞眼鏡!」

「くそ…!?」

「名前!テメーもなんか言ってやれ!」

「んー…いいんじゃないですか?」

「「「はい?」」」

「確かにちょっと嫌ですけど、何かに夢中になれるって凄くいいことだと思うし、そこまでファンに愛されてるお通ちゃんって凄く幸せだと思います。それに…」



名前ちゃんは湯呑みを机に置いて、三人で立ち上がって掴み合いをしていた僕達の顔をみた



「私、新八くんが大好きだし、新八くんも私を好きでいてくれるから許せるんです。そりゃあちょっとは嫉妬しますけど」



名前ちゃんは照れた様に笑った
掴み合ったままの状態でポカンとする三人
その中で僕の顔だけが真っ赤だった







((やってらんねーっ!))
(二人が勝手に始めたのになんなんですか!)
(ふふ、みんな仲いいね)





ぱっつあんハピバ
誕生日関係ない感じに仕上がりました←

090812


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