たまに無性に泣けてくるんだ
頭の中がモヤモヤして全てが嫌になる


私は死にたいわけじゃないんだよ
死にたいわけじゃないけど死にたいんだ
楽になりたい無になりたいんだ


将来を考えるのは疲れるし嫌になる
少し嫌なことがあっただけで世界に拒絶されたように思える


嗚呼、私はなんて弱いんだろう
ねぇ誰か私を殺してよ
死ねば無になれるんだろうか


誰かが言ってた
自ら命を絶ったものはとても苦しい場所に逝くそうだ



「頭痛い」

「また偏頭痛か?」

「うん」



偏頭痛の原因は肩凝りか精神的なものとされているそうだよ
私の場合は精神的なものかな
右脳が凄く痛い
頭が割れそうだ




「泣くなよ」

「う…あ、痛いよ、痛いッ…」



ねぇ、私ってなんのために生きてるのかな


私って凄く利己主義なんだ
自分の思い通りにならないとどうしようもなくイライラする
どうしようもなく全てが嫌になるんだ
それこそ息をするのも目を開くのも




「何日飯食ってねぇの?」

「…ん、二日くらい」

「なんか食うか?」

「食欲ない…」



ご飯を美味しいと感じられないんだ
お腹が空かない
お腹が気持ち悪いし胃が痛い




「ちゃんと寝てるか?顔色わりぃぞ」

「寝れないんだ…」



眠いんだけど寝れないの
瞼を閉じても目玉がゴロゴロするだけで闇には落ちていけないんだ
夜は嫌いだ
寂しくなるし悲しくなる
無性に泣きたくなるし
世界に一人取り残されたような気分になる




「許せないんだ」

「何が?」

「バカな若者がすぐに鬱になるーって口癖の様に言うのが」



周りのギャル系は全員バカに見えるし、騒ぎまくる若者は猿に見える
学校に行く人は何をしに行ってるの?
勉強してどうするの?頑張ってどうするの?
幸せって何?結婚が最終的な幸せとは思えないし、仕事で成功するのが幸せとも思えない


誰かが言ってた
人は皆、意味を持って生まれてくるって


じゃあ教えてよ
私はなんのために生まれてきたの?なにをしに生まれてきたの?




「直ぐにね、人に死ねって言う人も許せない」

「うん」



世界で人間が一人生まれた瞬間
世界で三人の人間が死ぬんだって

私が死ぬときもどこかの国で三人死ぬのかな
もしかしたらその一人は隣に座って私の頭を撫でている彼かも知れない




「死ぬのが怖いわけじゃないんだ」

「俺は怖い」

「うん。私ね、死にたいけど痛いのとか苦しいのは嫌なんだ」

「うん、俺も嫌だ」

「首を吊るのは苦しそうだし、死んだあと目玉飛び出すらしいし、色んなところから汚物垂れ流すらしいから嫌」

「異臭漂うだろうな」

「お風呂で息止めて沈んでみたけどダメだった」

「苦しかった?」

「うん。刺したりするのは痛そうだしなー…」

「切腹って腹切ってから十時間は死ねないらしいぜ」

「痛そうだね」



誰かに言われたんだ
痛いのや苦しいのが嫌で死ねない、それは死にたくないんじゃない?もしくは死ぬ勇気がないんじゃない?
そうなのかな…私死にたくないのかな
死ぬの、怖いのかな




「銀ちゃ、頭…痛いよ…うぅっ…」

「大丈夫、俺ここにいるから」

「ふ、うっ…寂しいよ、銀ちゃん…寂しい」

「大丈夫、大丈夫だよ」



頭痛いな右脳が痛いな


彼は決して頑張れとは言わない
私が頑張れないのを知っているから
私が『頑張る』ってことを知らないから
頑張るって意味がわからない
なにを頑張るのか分からない
生きることが嫌なのになにを頑張るの?




「銀ちゃん、今何時…」

「今は…午前四時」



何故こんな時間に彼が起きているのかと云うと、簡単な話私が暴れたから


心も頭もモヤモヤして苛立ちを物にぶつけるしか無くて、居間で泣きながら手当たり次第壁に物を投げつけていた
当たり前だが就寝中の彼を起こしてしまい、興奮して過呼吸になった私を彼が落ち着かせて今に至る


私はソファーに横になり彼の膝に頭を置いている
彼は片手を私の手と繋いで、もう片方の手で私の頭を撫でている


彼の手はマジックハンドでもなければゴッドハンドでもない
だから私の偏頭痛は治らない



痛い痛い痛い
頭が割れそうだ
嗚呼、鳥が鳴いている
もう、うっすらと外も明るい
汚い世界に日が昇る




本当に少ないが私には大好きな仲のいい友達がいる
親も兄弟もいる
音楽だって好きだし本も漫画も映画も好きだ
好きな俳優も女優もいる
人付き合いは苦手だが話せないわけじゃない
好きな食べ物だってあるし、毎日を平凡と生きて、休日には友達と遊びに行ったりする


だが嫌なのだ


世界が

人間が

朝が

昼が

夜が

自分が


誰にも理解してもらえない孤独感



「ねぇ、銀ちゃん」

「ん?」

「痛いよ…」

「うん」

「寂しいよ…」

「うん」

「悲しいよ…」

「うん」





誰カ私ヲ助ケテ





「銀ちゃん、



死にたいよ」






090803

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