この前たまたま立ち寄った甘味屋で偶然桂さんに会った



暫く他愛もない話をしていて、話の中で私が苺サンドが食べたいと溢したら後日万事屋に大量の苺とサンドイッチようのパンと生クリームが送られてきた
どうせなら買った苺サンドを送ってきて欲しかった



でも折角の好意を無駄には出来ないので苺サンドを作ろうと思う
苺を適当な数だけ洗って来てソファーに座りボウルも泡立て器も包丁もまな板も用意して、さぁ地味に苺のヘタでも取ろうかなって時にこの家の主人がパチンコから帰って来た



「ただいま〜…ッうお!何これ苺!?」

「お帰り。桂さんが送ってきてくれたの」

「え?これ食べていいの?」

「苺サンド作るからあんまり食べないでね」

「おー」



そう言うと銀ちゃんは嬉しそうに鼻歌を唄いながら数個箱から取った苺を洗いに台所へと消えて行った



「え、ちょっと!お皿に入れようよ」

「いいんだよめんどくせぇし」



台所から戻ってきた銀ちゃんの手には練乳と洗われた苺だけ
ソファーに浅く座りだらけた体制で苺に練乳を掛けて齧る姿にちょっとイラッとした
ソファーに汁溢したらあの天パ頭叩いてやる



「やっぱ苺は練乳かけて食うのが一番だな」

「あたしは砂糖と牛乳の方が好き。それか苺サンド」

「お前苺サンドなんてうめーけど邪道だよ」

「ご飯に小豆かけて食べる人に邪道とか言われたくないわ」



銀ちゃんと喋ってるうちに苺のヘタは取り終えた
生クリーム泡立てるのめんどくさいなーこの家ハンドミキサーないから嫌になる
こういう時神楽ちゃんがいてくれたらすぐに泡立つのに神楽ちゃんは生憎定春の散歩中



「ねぇ銀ちゃん」

「あー?」

「苺の花言葉って知ってる?」

「苺って花言葉あんの?」

「うん。苺の花言葉はね、幸福な家庭とか貴方は私を喜ばせるって言うんだよ」

「へぇ〜」

「だから苺サンド出来上がったら銀ちゃんにあげるね」

「おー…」



銀ちゃん黙っちゃったけど意味分かったかな、
お互い何も喋らなくなってシャカシャカとボウルと泡立て器がぶつかる音だけが聞こえた



「じゃあさ、」

「ん?」

「銀さんもお前に苺やる」



銀ちゃんは机に片手をついてソファーから身を乗り出し私の口にたっぷり練乳のかかった苺を押し付けた
苺を齧ると顎に紅い汁が伝って口の中には甘酸っぱい味が広がった



14歳の少女と16歳の少年と貴方がいて笑い合える万事屋(ここ)はきっと幸せな家庭と呼べるものなんだろう
君が存在しているだけで貴方は私(俺)を喜ばせるから花言葉と一緒に苺をあげる







桂さんが苺を送ってくれたお陰で銀ちゃんの口から嬉しいことを聞かせてもらえたので、苺サンドが出来たらお礼として桂さんにもお裾分けしようと思う


end


管理人が苺サンド大好きで食べたいだけ


090330

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テーマ「人外ファンタジー」
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