6月26日
その日は俺がこの世に誕生した日だ
この世に誕生して二十数年こんなに酷い誕生日祝いを受けたのは初めてだ
｢すまん！遅くなった！｣
坂本からPSと本文が逆で意味不明なメールを貰い大学を抜けてメールで指定された場所、名前の家まで来た
「ぎゃははっ！桂来た桂！超桂なんですけど！」
「あっはっはっ！超桂らぁおんしゃ意味わからん！」
「おいッ！誰かもっと酒持ってこい！」
な、なんなんだこれは…
ここは地獄か、汚すぎる！汚すぎるぞォォォ!!そんな…アレだ…汚すぎるぞォォ!!
床や机の上には酒やらつまみやらが転がっている
こいつら今日は大学に来ないと思ったら昼から酒とは……
だいたいこの家の家主はどこに行ったんだ
「あーっ!！ちょ、おま、コラ！小太郎来るまで呑むなって言ったのになに三人揃って呑んでんの！馬鹿ですかお前らは！脳みそミジンコ以下ですかコノヤロー！」
探していた家主の声が後ろからしたので振り向くと、買い物袋を両手に下げた名前が部屋を見て怒りを露にしていた
「名前、これはどういうことだ」
「ごめんね小太郎！ほんっとにごめん！とりあえず座ってて！」
「お、おい！」
名前は俺を無理矢理ソファーに座らせるとガサガサと買い物袋を揺らしながら台所の方に消えていった
「おい、ヅラァお前今までどこ行ってたんだよ！」
「くっさっ！酒臭っ！ちょ、もっ、酒臭ッ！」
ワンカップ片手に銀時が俺に絡んで来た
酒臭い…どんだけ呑んでんだコイツ…
「どぅわ〜くわ〜るぁ〜(だから)どこ行ってたんだよっつってんだろヅラちゃんよぉ〜」
「どこって…大学」
「くあー！相変わらずくそ真面目じゃのーヅラぁ」
「貴様らが不真面目なだけだろうっていうかお前も酒臭ッ！離れろ！」
今度は左から坂本がスルメ片手に絡んできた
銀時に負けず劣らずコイツも酒臭い
右に銀時、左に坂本
両者共にうざいし臭い
もう昼間から酒臭い様な奴はみんな死ねばいい
「だいたい今日はおめーのために集まったっつーのに何で主役が遅れてくんだよ！おめーがおせぇから先に酒呑んじまっただろうが！」
「は？俺のため？」
机を挟んで俺の向かいのソファーに一升瓶を抱いて座る高杉
「そうそう、今日は小太郎のためにみんな集まったんだよ？馬鹿三人のせいで台なしだけど」
「名前、」
台所から戻ってきた名前の手には白い箱
その白い箱を汚い机の上に置くと名前は高杉の横に座った
「これはなんだ？」
「さあて何でしょう？」
「なぁ勿体ぶらずにさっさと食おうぜ！銀さん今日はこのために糖分取ってねぇから早くしないと死ぬー！」
「え!?お酒呑んだのに食べるの!?絶対吐くって！」
「糖分王なめんなよコノヤロー！苺が俺を呼んでるんだよ！」
「呼んでないから！」
「糖分はいいから酒持ってこいっつーの！」
「はぁ!?あんたまだ呑むの!?」
「わしも呑むぜよー！あっはっはっ！」
また騒ぎ出した三人を尻目に俺は白い箱を見た
糖分…苺…ケーキか何かか？
「名前､名前」
「え？あ、はいはい、何？」
「これはケーキか？」
「あー…うん、ほんとはね銀時指導のもと朝から皆でケーキ作ってたんだけど、晋助と銀時が喧嘩しちゃって材料こぼしてケーキダメになっちゃったから買って来たの」
「そうか、しかし何故ケーキなんだ？」
「え？何でって…もしかして小太郎気づいてないの？」
「何が」
「今日」
「今日？」
俺はポケットに入れていた携帯を出し日付を確認した
「あ、6月26日…」
「うん」
笑顔で大きく頷いた､名前は白い箱に手をかけて蓋を持ち上げた
中にはショートケーキが入っていてチョコレートのプレートにはHappy Birthday小太郎の文字
「よし！じゃあ食べようか！あ、プレゼントはちゃんと後であげるから」
「きゃっほー！ケーキケーキッ！」
「辰馬お皿配ってー」
「チョコレートは俺のな」
「お前は何様だチビ助！チョコレートは銀さんに決まってんだろ！」
「お前も何様だ白髪！チョコレートは主役の小太郎に決まってるでしょ！」
6月26日
その日は俺がこの世に誕生した日だ
「あ、そうだ。小太郎」
「ん？」
「誕生日おめでとう」
「おめっとさん」
「おめでとう！」
「…おめでとう」
この世に誕生して二十数年
こんなに青臭くて嬉しい誕生日祝いを受けたのは初めてだ
こいつらといつまでも馬鹿をやれれば歳を取るのも苦ではないかも知れない
昼間から騒げ！
(銀時貴様！俺のチョコレートォォオ!!!)
(うっせー食べねぇおめーが悪いんだよ！って高杉ィィィイ!!!何で俺の苺食ってんだよ！)
(苺が俺を呼んでたから)
(うえっ…気持ち悪かあ…)
(馬鹿だなーお酒呑んだのにケーキなんか食べるからだよ)
end
Happy Birtday桂さん
あんまり祝ってる感じじゃなくてごめんね
大学パロ的な
090626