「宮地先輩お待たせしました〜」
「は!?おま、轢くぞ!」
「え?なんでですか?」

今日は後輩で彼女のなまえが、俺の家に泊まりに来た。親いねえっつったら泊まりたいなんて言ってきやがったこのバカは、きっとその先の危険なんてこれっぽっちも考えてねえ。その証拠に、風呂から出てきたこいつは俺のシャツ一枚というバカもいいとこな格好をしていた。すらりとした足は完全に丸出しだ。

「なんで下半身丸出しなんだよ!痴女か!」
「失礼な!ちゃんとショーパン履いてますよ!」
「んなもん見えなけりゃ履いてねーのと一緒だボケ!」
「履いてるものは履いてますー!そもそも宮地先輩のシャツが大きすぎるのが悪いんです!」
「シャツ忘れてくる方が悪いに決まってんだろ借りといてでけえ顔すんな轢くぞ」

目に毒、という言葉をこれほど痛感したことはない。履いてるとはいうが実際俺のシャツに隠れてショーパンなんか見えやしねえし、濡れた髪はやたら色っぽいし、そのくせ本人は自覚ねえし。タチ悪ぃにも程があんだろふざけんな。

「ね、それより先輩!今ね、先輩の好きなアイドルが歌ってるって!」
「風呂入ってたくせになんで知ってんだよ」
「高尾がラインで教えてくれた」
「風呂で携帯いじんな」
「先輩見ないんですか?終わっちゃいますよ」
「いいんだよ別に、録画してあるから」

せっかくこいつがいるんだし、アイドルよりもこいつとの時間を大切にしたい。そう思ってリアルタイム視聴諦めたのになんでこいつは高尾と連絡取り合ってんだよクソ。不思議そうに俺の隣に腰掛けるこいつの肌は風呂上がりだからかほんのり色づいていて、俺のシャツでかすぎてちょっとブラ紐見えてて、ああもうふざけんなよこいつ無防備にも程があんだろ!!

「先輩?」
「うっせー近寄んなさっさと髪乾かせ」
「近寄んなってどういうことですか!」
「あーもうわかったからとりあえず髪を乾かせ!」
「後でいいじゃないですか別に」
「風邪ひくだろさっさとしろ」

じゃあ先輩がやってよー、なんて言いながら俺の腕にしがみついてくるこいつに、俺の中の何かが切れた。少し力を入れればこいつなんて簡単に振り解けるし、簡単に組み敷ける。突然押し倒されたこいつは目を見開いて俺を見上げていて、その首筋を伝う水滴がまたエロくて。パクパクと動かすその唇に吸い付いてやれば、このバカはびく、と反応して目をぎゅっと瞑った。触れては離れてを何度か繰り返してから、ゆっくりと唇を下に移動させる。細い首筋にちゅ、とキスしてそのまま吸い上げれば、なまえの白い肌に映える赤い跡がくっきりとついた。

「…これ以上ナメたことしやがったら、マジで犯す」
「…!!」
「わかったらさっさと髪乾かせ」
「は、はい!」

顔を真っ赤にした彼女の上から退けば、慌ててドライヤーを掴みパタパタと逃げていった。あー、何してんだ俺大人げねえ。もっと年上ぶりてえけど、あいつの前じゃそうもいかねえらしい。どくどくとうるせえ心臓と、僅かに熱を持つ身体を落ち着けるように、着替えを掴んで風呂場に向かった。あー、今晩我慢できっかな、俺。

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