「コラなまえ!スカート短くねえ?」
「そう?これくらい普通だよ」
「普通じゃねーって!足出しすぎ!」

教室で友達と話していると、朝練を終えた幼なじみの和成ががらりと扉を開け教室に入ってきた。朝イチで振る話題がスカート丈についてって…。

「もー高尾過保護すぎ!」
「なまえは私たちがちゃんと守るから大丈夫だよ!」

話していた友達が和成を軽く非難する。いやいや、二人も十分過保護な気がするけどなあ。そんなに守ってもらわなくても大丈夫だよ、と和成含め三人に告げれば、彼らは声を揃えてダメ!なんて言うからその勢いに押されてしまった。私そんなに危なっかしいのかな…そんなことないと思うんだけど。
ちょうどそこで予鈴が鳴って、それぞれが自分の席に戻っていく。和成と席が隣だなんて、誰かが仕組んでるんじゃないかとさえ思う。(和成は運命なのだよ!と緑間くんの真似をしていたけど)

「なーなまえ、いっつも言ってっけどさ、お前もうちょっと危機感持ってもいいんじゃね?」
「だから大丈夫だってば」
「ダーメ!部活さえなけりゃ送り迎えもしてやんのに…」
「どっちかって言うと和成の方が怖いよ…」

別に、ほっとけない女の子なタイプではないんだけどな。むしろごく普通なのに。和成がそんなに私に執心する理由がよくわからない。ていうか、和成は普通にかっこよくてノリもよくて、結構モテるタイプなのに彼女がいないのはこれが原因なんじゃないかと思う。和成に彼女が出来たところを想像すると寂しいしなんだか胸がちくちくするけれど、でも自分のせいで和成がずっと一人というのもそれはそれで寂しい。

「いやほら、なんつーの?俺ガキの頃から母ちゃんにもお前の母ちゃんにもなまえのこと頼むって言われてっからさ、俺が守ってやんないとって思っちゃうわけよ」
「んー…でももう守ってもらうような年でもないよ?」
「なーに言ってんの!むしろ年頃の今が一番危ないっしょ」
「でもさ、私が縛りつけてるせいで、和成彼女の一人も作れないじゃん…」
「…はっ?」

自分で言っておいて、ちょっと悲しくなってしまった。和成に彼女が出来たら、こうして私に声をかけてくれることも、やたらと心配してくれることもなくなっちゃうのかな。そしたら私の生活、がらっと変わっちゃう。なんだかんだで、私の日常にはいつも和成がいるから。

「なに、お前そんなこと考えてたわけ?」
「…そんなことばっか考えてるよ」
「ぶっは、そんなん気にしなくていーんだっつの!」

和成は盛大に噴き出すと、私の頭に手を起きわしゃわしゃと撫でてきた。突然のことにされるがままになっていると、和成はその手で乱れた髪をさっと整えてくれる。…こういうとこが、たぶんモテる理由だ。

「俺はお前の世話焼いてんのが好きなの。好きでやってるわけよ!縛りつけてるなんて考えんな、そんなんじゃねーから!」
「…うん!」

にかっと白い歯を見せて笑う和成に、つられて私も笑顔になる。なんだかんだでこうして和成に事ある毎に心配される毎日を、私も楽しんでしまっているから仕方ない。私だって、和成とこうして一緒にいるのが一番落ち着くし、大好きだ。

「…つーかこんだけアピってんのにまだ伝わってねーのかよ…」
「え?なに?」
「何でもねーよ!ま、そういうことだから」

和成は再び私の頭に手を乗せ、今度はポンポン、と軽く叩いてきた。和成の大きい手が私を包んでくれてる気がして、なんだか安心する。この気持ちを何と呼ぶのかはよくわからないけれど、今はこうして和成の隣に居られればそれでいい。

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