「へ?菜緒?」
「あ、涼太」

夕陽の差し込む教室で、制服姿の涼太と出会した。

「なにしてんの」
「課題の問題置き忘れて…あんたこそなにしてんの」
「俺は部活からの補習」
「ああ…あんたバカなんだっけ」
「うっせ」

特にすることもないので課題を進めていたら、古典の課題が見当たらないことに気がついて。手元にないということは学校だろうと来てみれば、案の定机の中に入っていた。鞄にしまいさあ帰ろうと踵を返したところで、こいつが後ろのドアから顔を出したのだ。

「言ってくれれば帰りに取って家届けたのに」
「え、それは悪い」
「なに今更遠慮してんの」

いやそれはするでしょ。どうせ暇だったからいーの、と告げ歩き出そうとすれば、やんわりと腕を掴まれ壁際に追い込まれる。あまりに手慣れたその動作に、抵抗することも忘れ呆気にとられてしまった。

「…ねえ」
「え、ちょ、何」

何、とは言ったものの、頭の中では次に何をされるのかだいたい想像はついていた。だって付き合う前も後も、こうして私を追い詰めては楽しそうに笑ってた。口角をつり上げる涼太の胸元に手をついて力を入れるが、もちろん意味なんてない。

「んっ」

涼太が私の唇を奪う。場所が場所なだけあって抵抗するけれど、こいつが素直に私の言うこと聞いてくれるわけなんてなくて。全力で胸を押すけどびくともせず、むしろ身体が近付いてくる。はむはむと食べるように私の唇を口に含むそのキスに、どんどん顔が紅潮してきて。

「りょ、うた、あ」
「黙って」

私を真剣に見つめたあと、涼太は食むようなキスから舌を差し込む深いキスに変えた。こんな、教室なんて、部活の人がいつ来てもおかしくないのに。恥ずかしくて舌を引っ込めていると、涼太は内頬を撫でたり上顎を擦ったり歯列をなぞったり、私の口腔内をとにかく荒らし回った。

「っひ、あ」
「いい声」

涼太が私の耳元に顔を寄せ、そっと唇を落とした。それだけでもぞくっとするのに、涼太は私の耳穴に舌を捩じ込んできて。唾液で湿った舌がぴちゃぴちゃと音を鳴らすから、ぶるりと背筋が震えるのがわかった。やだ、こんなの、恥ずかしい。気付いたらこいつを押していた手はこいつのシャツを握り締めていて、これじゃまるで、こいつの行為を受容してるみたいじゃんか。

「お、ま…まじで、やめ、」
「ん…、感じてるくせに」
「っ!」

途切れ途切れで拒絶すると、涼太は吐息がちにそう呟いて私の足の間に膝を差し込んできた。ぐりぐりと私のソコを刺激してくるこいつは、それなりに息も上がっていて。

「ちょ、ほんと、やっ」
「…やめてほしい?」

自分勝手なこいつが確認をとるなんて珍しい。驚きつつもこくこくと頷けば、何故か楽しそうににやりと笑って。やばいかも、なんて思った時には遅く、涼太の指が二本口の中に突き入れられた。

「!?」
「舐めて」

突然すぎる行為とその命令に、驚きすぎて目を見張った。やだ、と首を横に振るも、じゃあ続きする?とまた秘部をぐりぐりされて。こんなの、どう転んだって恥ずかしいじゃん。

「ほら、どうすんの」
「っ」

入れられた二本の指が、私の舌を絡めとる。恥ずかしいし苦しいし、戸惑ったけれどもう仕方ない。ここで犯されるよりマシだ、と腹を括って涼太の指を控えめに舐めた。

「ん、いいかんじ」
「っ…ふ、」
「もっと舌使って、這わして、そうそう」

涼太の言う通りに、舌をそのごつごつした指に這わせる。涙の溜まった目で涼太を見上げれば、その顔やばい、と再び耳を舐められた。口からはちゅぱちゅぱと唾液の音が漏れて、教室内に木霊する。

「ん、舌絡めて…うん、上手。じゃあ次吸って」
「っ、ふ、う」
「っ、うっわ、やば」

涼太の指示通り、指に舌を絡めて、そして吸って。それがお気に召したのか、涼太は耐えるように顔を歪めていた。その表情がとてつもなく色っぽくて、恥ずかしいけど身体が疼く。ずるりと指が引き抜かれて、私の唾液でてらてら光るそれを涼太が見せつけるように舐めた。

「っ」
「なーに照れてんの。この唾液全部あんたのっスよ」
「っ、しね」

私の反応にくすりと笑うと、涼太は私の下肢に指を這わした。唾液に濡れたその指は、私の下着を上から撫でて。

「やっ…!」
「あれ、なんか濡れてんスけど、これ唾液じゃないっスよね」

わかってるくせして、こんな言い方するんだからずるい。ふざけんな、とぎろりと睨めば、それ煽るだけだから、と額に唇を落とされる。教室で、こんなことしちゃだめなのはわかってるのに、私の本能は触ってと叫んでいた。

×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -