「…さいあく」
部屋に帰るなりベッドにダイブして、ぼそりと呟いた。よくよく考えたらアイス買いに行ったはずなのになんも買ってないし、本当なにしに行ったんだよ。
先程の出来事が頭をぐるぐる回る。なんなんだよ、私なにか悪いことした?偶然会って、少し話し込んで、まあちょっとイタズラはされたけど未遂だし私がしたんじゃないし。そんなに怒ることなわけ?だいたい、自分はいろんな女の子とキスしたりそれ以上のことしたりしてたじゃん。
「うー…」
枕に顔を埋めて唸る。今まで嫉妬したことなんて無いに等しいのに、そう考えると胸がモヤモヤしてくるのがわかった。私はキスもハグも手繋ぐのも、その、エッチだって涼太しか知らない。でも涼太は全部、他の人との経験があるわけで。
「おっも…」
過去のことは今更どうしようもないし、私がそれに怒ったところであいつのしたことが消えるわけじゃない。ていうか怒る権利ないし。私って、こんなに重かったっけ。そういえば元彼にも重いとかなんとか言われてフラれたな。まあ私のこと傷つけたかっただけだろうし実際知らないけど。
イライラとモヤモヤが相俟って、どんどん気持ちが沈んでいく。あーくそ、なんで私がこんな気分になんなきゃいけないんだ。つーか1ヶ月一緒にいんだから、私が浮気とかする気ないってことくらいわかってよ。悔しいから言いたくないけど、涼太みたいなかっこよくて優しくて気の利く彼氏がいんのに目移りなんかするわけないだろっつの。
「…はあ」
信用されてなかったのは普通にショックだしむかつくし、あんな言われ方されてイライラしたけど。でも、考えれば考えるほど、あいつのことが好きなんだと思い知らされる。我ながら、相当なアホだ。