「寿乃ちゃんはさ、近藤さんたちとは武州の頃からの知り合いなんだよね?」
「まあ、はい」


地味キャラ確立しすぎて逆に濃い山崎さんと縁側でお茶を飲んでます。彼は真選組の中じゃ一番の常識人で一番の苦労人。山崎さんに幸あれ。


「近藤さんたちに稽古つけてもらいながらミツバさんに面倒見てもらってました」
「ミツバさん…沖田隊長の?」
「はい」


両親に捨てられ一人だった私を拾ってくれたのはミツバさん。総悟と一緒に面倒を見てもらってた。


「寿乃ちゃんはなんで近藤さんたちと一緒にこっちに来なかったの?」
「…連れてってもらえなくて」


近藤さんたちは真選組を作るんだと豪語して武州を離れた。私も連れてってと何度も懇願したけれどお前は女だからと聞き入れてもらえず、泣きながら総悟に頼めば「いつまでも我儘言ってんじゃねェ」と真剣な顔で怒られた。いつも私をいじめていた総悟だけど、本気で怒ったところを見るのは初めてだった。
置いて行かれてからは、悔しくて悲しくて特訓の毎日だった。女だからという理由で仲間外れにされたことが悔しくて、日々剣の練習に明け暮れて。…今考えれば、私に危険を侵させたくないという総悟の優しさだったんだろうなってわかるけど、当時の私はただただ悲しくて。


「…ミツバさんが亡くなって本当に身寄りもなくて、だから今度こそ真選組に入れてくれって頼んだんです」


そのために修行も積んだし、今の私ならみんなに迷惑かけたりもしないと思った。何より、みんなに置いてかれるくらいなら、みんなと一緒に戦いたいと思った。一人は、つらすぎる。

結果私はこうして真選組の一員となり、総悟たちと一緒に毎日を送っている。そりゃ大変なことはたくさんあるけど、それでも一人よりずっといい。


「……さてと、洗濯いってきますね」
「うん、行ってらっしゃい」


ミツバさん、見てますか?私、ちゃんと幸せですよ。

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