『寿乃ちゃん!?今すぐ屯所戻ってきて!今すぐ!!』



見廻り中に近藤さんからかかってきた電話。最近電話かかってくること多いなあ。あまりにも慌てた様子だったので何があったのか聞いてみたけれど、今すぐ帰ってこいと言うだけで何も教えてくれなかった。

まさか、あんなことになるなんて。







「近藤さーん!戻りましたけど…」
「寿乃ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!君いったい何したのォォォォォォ!?」
「はい?」


屯所に入るなり近藤さんにものすごい勢いでよくわからない質問をされる。何したのってなんですか、私なにか変なことしたっけ?


「西園寺さん覚えてるでしょ?こないだ護衛した!」
「…ああ、あのお金持ちの」
「そのお金持ち西園寺さんが寿乃ちゃんに話あるらしいんだけど!!!ずっと客間で待ってんだけどォォォォォォ!!」


…いやいやいやいや!!なんで!?


「そういうことだから早く客間行って!!早く!!」
「ええええええ!!近藤さんも着いてきてくださいよ!」
「えええ!?やだよ怖いもん!!」
「局長だろアンタ!!」


めちゃくちゃ怯えてる近藤さんを連れ急いで客間に向かう。な、なんだって金持ちがわざわざ私に会いに来るんだ。確かに失礼な態度で護衛したかもしれないけど、それなら私だけじゃないのに!震える手で襖を掴む。


「し、失礼します」
「ああ、寿乃さん」
「お待たせして大変申し訳ございませんでした!!!」
「いえ、勝手に来たのは私ですから」


私が言うのもなんですがお座りください、と言われ、大人しく西園寺さんの前に腰を下ろす。うわああああ大金持ちの威厳んんんんん!なんで私こんなとこにいんだろ、隣の近藤さんカチコチになってるし。なんて頼りにならないの…!


「あ、あの、本日はどのようなご用件で…?」
「ウチの隊士が何か失礼を?」
「いえ、そういう話ではないのです。今日は寿乃さんにお願いがあって」
「お願い…ですか?」
「ええ。寿乃さんには、西園寺家に嫁いでほしいのです」


は?


「…えっと…それは、つまり…」
「私と結婚してください、寿乃さん」


ガタッ!


「「!!」」
「…総悟……」


開いた襖の向こうに、総悟の姿があった。彼はこちらを見て固まっている。

これは、どういうこと?

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