「はあ……」
「土方さん、どうかしました?」
今日は非番らしく着流し姿の土方さんが、カツ丼(だった土方スペシャル)を食べながら重いため息をついた。
「あァ、寿乃か……まあ、ちょっとな」
「?何かあるんなら聞きますけど…」
「いや、そういうことじゃなくてだな。今ウチの財政厳しいんだよ」
「財政?」
「経費だけでもバカになんねェのにどっかのバカがバズーカでぶっ飛ばしたモンの修理費がとんでもねェんだ」
「ああ…なるほど」
確かにどっかのバカは所構わずバズーカぶっ放しますもんね…。てゆーかちゃんと修理費払ってるんだ。まあ当たり前だけども。でも実際破壊活動してるのは総悟なんだし、総悟の給料から引いちゃってもいいと思いますけどね。
「寿乃からも言ってくれ。あのバカ俺が言っても聞きやしねェ」
「いや私から言っても聞きませんよあのバカは、なんせバカですから」
「俺が言うよりは聞くだろ。アイツお前にはなんだかんだで甘ェし」
「どのへんが甘いんですか毎日貶し倒されてんですけど」
「甘ェよ、アイツに限らずな。真選組はみんなお前にゃ弱ェんだ」
「え?」
煙草をふかしながら、静かに言う土方さん。みんな私には弱いって、どういうことだろう…。
「めんどくさくてもお前に頼まれたら洗濯だって代わってやるし、給仕だってお前に任せたら可哀想だからって前よりちゃんとやるようになったし。まァ給仕に関しちゃ下心のある奴もいるようだがな」
「…」
「総悟にしたって、毎日お前の風呂付き合ってやったり、なんだかんだでお前のこと気にかけてんだろ」
…確かに、総悟はいつも私のこと気にしてくれてる。それにみんなも、いっつも私には優しくしてくれるよね、そういえば…。…てかよく見てんなぁさすがフォロ方さん…!
「俺や近藤さんにしても、風呂なら遠くても銭湯行けって言やいい話だろ。それをわざわざお前の時間設定したんだ、真選組は総じてお前に甘ェんだよ」
「…確かに私、皆さんに随分甘やかしてもらってますね…」
「…まァ、みんなお前のことが大事なんじゃねぇの」
そう言うや否やボリボリと頭を掻いて、「あー、昨日残した仕事片付けねェと」とかなんとか言って食堂を出て行った土方さん。…大事、って…言ってくれた?今…
「……私も、みんなが大事ですよ」
一人そう呟くと、笑顔を浮かべながら厨房に戻った。