真選組における仕事で何がつらいって、ご飯の準備ですよそんなん。
「おはようございまーす…」
「おう、おはよう…」
「おはよう寿乃ちゃん…ふああ」
私含めみんな眠い目を擦りながら厨房に入る。あー朝食の準備ほんとにつらい。ある程度料理の出来る人がローテーションで入るんだけど、私だけはほぼ毎日、毎食である。週休一日あるかないかくらいなんだけど、結構つらいんですよね特に朝!
「寿乃ちゃん」
「はい?…あれ、齊藤…さん?」
名前を呼ばれ振り向くと、そこには齊藤さんの姿。あれ、齊藤さんって給仕担当じゃないよね?なんでいるんですか。
「田中に頼まれて今日から給仕やることになったから、よろしく」
「あ、そうなんですか。こちらこそよろしくお願いします」
田中さん器用な人だったから結構助かってたんだけどな…。てか齊藤さん料理出来たなら最初から給仕入れよ!と思ったのは秘密。
そんなことよりさっさと準備しないと土方さんあたりが来ちゃう!まあ彼はメニュー関係なく出した料理が土方スペシャルへと姿を変えますけどね作った意味ないじゃんマヨ方コノヤロー!
「おはよう寿乃ちゃん」
「さっさとメシ出しやがれまな板」
「おはようございます山崎さん。隊長はもうご飯出したくないですふざけんな」
無事準備も終わりみんなが起きてくる時間。山崎さんと総悟が一緒に朝食を取りに来た。朝っぱらからふざけんなよこのサド昨日の優しさはどこに置いてきた。
「…おいブス」
「…返事したくないけど私のことですよね流れ的に考えて。なんですか」
「あいつ、給仕だったか?」
「え?」
あいつ、と言って総悟が睨む先には、ご飯を茶碗に盛る齊藤さん。あーあーご飯こぼれてるし。
「なんでも田中さんに頼まれて給仕に入ることになったらしくて」
「…ふーん…」
「田中?」
田中さんの名前を出すと、黙ってご飯を待っていた山崎さんが反応を見せた。山崎さんは思い出したように話し始める。
「そういえば昨日ね、齊藤が田中にすごい頭下げてるの見たよ」
「齊藤さんが、田中さんに?」
「…田中が頼んだなら何で齊藤が頭下げてんでィ」
えっと……なんでだ?よくわからなくて首を傾げると、そのリアクションを見た総悟は心底呆れたようにため息をついた。えええ私そんなに気に障りましたか…!
「バカもここまでくると同情すらァ」
「ちょ、誰がバカですか!!」
「…寿乃ちゃん、ほんとにわかんないの?」
「えええごめんなさいほんとにわからないです」
「やめとけ山崎、こいつのバカは空気感染する」
「じゃあ隊長もアウトですよバカはどっちですか」
「誰に向かって口聞いてんでィ」
私はバカじゃない。総悟の方がよっぽどバカだ。そう心の中で毒づきながら口ではすいませんごめんなさいとひたすら謝り許しを請う自分が情けない…!
総悟は最後に厨房の奥を一睨みして、山崎さんと一緒にテーブルの方へ向かった。総悟が視線を送った方を見ると齊藤さんと目が合った。…齊藤さんのこと睨んでたのかな?なんでだろう。