『修兵どこに居るんだろう…』

九番隊隊舎辺りをうろうろしていると、修兵の後ろ姿が見えた。

『修へ、「修兵さぁん!今日奢ってくれるって本当ですかぁ?」…っ!』

思わず霊圧を消して隠れて前で行われる会話を聞きはじめた。

前では修兵とおそらく九番隊のきゃぴきゃぴした女の子が修兵の腕を掴んでいた。

ずきんっ、と音をたてて痛む胸に呼吸の仕方さえも忘れそうになる。


「あぁ、今晩は奢ってやるよ」
「やったぁ!修兵さん大好きっ」

そう言ってさらに抱き着く女の子がちらりとこっちを向いた。

『っ!』

目が合った瞬間にやりと笑って修兵の頬に唇をつけた。

「いつも止めろって言ってるだろ?」
「えぇーだって〜!好きなんだもぉん」

なんでそんなに落ち着いてるの?
なんで振り払わないの?

―…あぁ、この二人付き合ってるんだ。

それに私じゃなくても良かったんだね。


溢れそうな涙をぐっとこらえて立ち上がった時、女の子がこっちを見てまた笑った。

「あぁー見られちゃいましたね〜」

その声でゆっくりと振り返った修兵は驚いた表情を浮かべて黙った。

「名前さんこんにちは〜」
「名前!や、これは…!」

『お似合いじゃん、良かったね、じゃあ私はこれで…』

「名前!」

背を向けて歩き始めると、修兵に急に呼ばれた。

「これは違うくて…!」
『…そぉいう子居るならもう誘わないでね、』
「だから!」
『…さよなら』


瞬歩でその場をあとにして六番隊に戻った。

『戻りましたー』

「おう名前!どうだった?」

『修兵、彼女が出来たみたいですよ。だからダメだって!』

笑いながら言うと恋次副隊長は眉をしかめた。

「それ、修兵さんが言ったのか?」

『言われてないけど女の子といちゃついてるとこみたんです、だからもう良いんです』

「そんな事、『良いんです!』、名前…」

「何事だ、大きな声で」

「隊長!」
『朽木隊長!すいません…』


タイミング良く朽木隊長が帰ってきたから恋次副隊長はそれ以上何も言わなかった。

「名前、これから空いているか?」

『はい、なんでしょうか?』

「琉魂街で少量の虚の気配があった。先に四席から六席が向かっているんだが、連絡が取れない。少し様子を見てきてくれぬか?」

「それなら俺が!」

「恋次は別に仕事があるであろう」

黙り込む恋次副隊長を見て私は笑顔で頷いた。

『大丈夫ですよ!行ってきますっ』

今何かをしていないと涙が出そうだったから、私は頷いて場所を聞きすぐに隊舎を出た。


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