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あれから長い年月が過ぎた。
私は無事に死神になり六番隊三席に所属している。
藍染と他2人の隊長がソウルソサエティを出て行った後、私は恋次副隊長達と一緒に現世に来た。
そして、あなたが居るとルキアちゃんに聞いた場所へと向かった。
会いたい、会いたいの。
もう何年も待ちました。
私は、あなたに会いたいんです―…。
そう思って走り回っていると、人にぶつかった。
『っ!…すいません!』
「…ずいぶんとお綺麗になりましたねぇ…名前さん」
『…へ?』
懐かしい声色にゆっくりと顔を上げて見ると、そこにはずっと、ずっと、ずーっと会いたかった人がいた。
『き、すけ…さ..ん?』
声が上手く出ない、あなたを呼びたいのに、もっと話したいのに涙が邪魔して声が出ない…。
『喜助…さん、喜助さん!…喜助さん!…あいた、かったです…!』
ふわっと温もりに包まれて、懐かしい香りを感じた。
「会いたかったっすよ…名前」
耳元で呟かれた言葉はひらひらと私の中に舞い降りた。
『私、頑張って、っ喜助さんに、会うために…っわ!』
「もう、大丈夫ですから…泣かないでください」
さっきよりもずっときつく抱きしめられて、思わず驚いて声をだすと少し笑われた。
「可愛い所は変わりませんねぇー」
『喜助さんは少し雰囲気が変わりましたね』
「それは老けたって事ですかね?」
『ふふっ、違いますよ!……ねぇ喜助さん?』
ふっと腕を緩めて顔を覗き込む喜助さんと恥ずかしいから目が会わないように俯いた。
『私…今六番隊で三席をやってるんです』
「夜一さんに聞きましたよ、頑張りましたねぇ」
『…少しでも』
「え?」
『…少しでも私は、あなたに近づけましたか?』
顔を上げると、唇に柔らかい感覚を感じた。
『き、喜助さん!?』
「ずっとずーっと前から、名前はアタシに届いてますよ。誰よりも近い人ですから、ずっと愛してます」
『喜助さん…私も、私もです!』
止まったはずの涙がまた止まらなくなっていると、そっと喜助さんの掌が頬に触れた。
「あの時とは違いますからねぇ」
『どぉ言う意味ですか?』
「離さない、っていう事ッスよ。名前」
そう言って優しく笑う喜助さんに、私は涙を流しながら抱き着いた。
もう一度、あなたに
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