もうずっとずっと前の出来事。だけど、また会いたいと願っていたんです―…



喜助さんは琉魂街で倒れてた私を拾ってくれた人。

だから少しでも恩返し出来るように、必死に霊術院で勉強したし、私に出来る事なら何でも手伝った。

そんな日々が私には幸せだったし、喜助さんは私の全てだったんだ。


だけど…
そんな日は長く続かなかった。

ある日の夜、喜助さんはいつもとは違う凄く寂しそうな表情で私の部屋に来た。


「名前さん、ボクは行かなくてなりません」


理由は分かっている、全ては藍染隊長による裏切りのせいだ。

喜助さんは悲しそうな顔で全てを話してくれた。

優しくしてくれたひよ里さんまでもを巻き込んで―…。


『喜、助さん…みんなは、大丈夫なのでしょうか…?』

「分かりません、だから急いで行かないと行けない。…ですがあなたはここに残ってください」

辛そうな表情を浮かべる喜助さんに、私は喜助さんを抱きしめた。

「名前さんには危なすぎる…」

『分かりました、そんな顔しないでください!…私は喜助さんに本当に感謝してます、だから喜助さんには笑っていて欲しいんです』

「名前さん…」

『必ずいつか会う時までには、もっと強い死神になって喜助さんの隣に並べるような女の子になります!』


私が涙をぐっと堪えて笑うと、喜助さんは私の頬に優しく触れた。

「…お元気で」

『喜助さんも、お元気で…』


辛そうに目を細めて歩き出す喜助さんの後ろ姿を私はずっと眺めていた。


本当は連れていってほしかった。
だけど我が儘なんて言えなかった…

だって、今の私がついて行っても足手まといになるだけだから…

『っく…喜、助..さん…』


目からこぼれ落ちる涙を拭って、私は必ず死神になろうと決めた。

絶対強い死神になって、喜助さんにこの想いを伝えようって決めた…。


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