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『今、なんて言った……?』
「だから!心配だったんだよ!悪いか!」
頬を少し赤くして怒る日番谷に私はただ驚いた。
「朝話してお前の様子が変だったから気になって六番隊来てみたらお前居ないし、霊圧感じられなくなるし、朽木が連絡も取れないとかいいやがるし!」
『うん、ちょっと落ち着いて…』
「行ってみてもお前居ないし、とか思ったら急に霊圧感じて安心したら、お前血だらけで座ってるし、近づいたら"なんで日番谷?"とか言って阿散井に寄り掛かってるし、それに阿散井は名前だし…っ!」
そこまで言ってハッとした顔をする日番谷に私はくすりと笑った。
『ふふっ…とにかく心配してくれたんだね?』
「いや、まぁ…」
『ありがとうね…でも…恋次を名前で呼んじゃダメなの?』
首を傾げると日番谷は罰が悪そうに俯いた。
『…日番谷?』
「俺はお前と付き合いが長くて、それなりにお互い特別だと思っていた」
『…?』
「でも俺が隊長になってからお前が急によそよそしくなった気がした」
『……それは』
多分その頃から好きになったからじゃないかな?
「気がつけば名前じゃなくて苗字で呼んでるし…」
『えーっと…日番谷、要するに寂しかった?』
私がそう言うと日番谷は顔を真っ赤にした。
それは今まで見た事がないくらいに可愛かった。
「…そうだと悪いか!そりゃ好きな女が離れて行ったら辛くもなるだろうが」
『…へ?』
急な発言に固まってしまった私に、日番谷は続けた。
「好きなんだよ、昔から」
『ほ、んとに…?』
「こんな恥ずかしい嘘つくと思うか?」
確かに日番谷はこんな嘘つくタイプじゃない、じゃあ…ほんとに?
そう考えると顔に熱が集まるのを感じた。
「名前?」
『私だって…寂しかった、隊長についてからいつの間にか大人になってるし、日番谷が先に名前で呼んでくれなくなったんだよっ…!』
「…悪い、なんとなく気恥ずかしくなったんだ…だから泣くな、」
『私だって…!好き、だったんだからぁ…!』
右手で目を擦りながら言うと、日番谷の臭いに包まれた。
「ほんとに、か?」
『当たり前でしょっ…!私だって日番谷は雛森副隊長が好きなんだと思って不安だったんだからっ!』
「…雛森はただの幼なじみだ、大切なのは名前だけだ」
『うぅ…冬獅郎ー!』
「辛い思いをさせて悪かった、これからはずっと一緒だ。」
『うんっ!…冬獅郎大好きっ!』
それからしばらく私達は抱きしめあっていた。
遠回りLovers(『ねー冬獅郎?』)
(「なんだ?」)
(『いつから好きだったの?』)
(「…急になんだよ」)
(『気になっただけー』)
(「そんなのもう忘れた」)
(『えー!』)
言えるかよ、出会った時から気になって た、なんてな。
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