『空斬波天竺(クウザンパテンジク)!』
「名前、卍解を!?」
『まぁ…ちゃんと使えるかは分からないけどね…』

三日月のように曲がった刃をブンブンと振り回すと、首を傾げる恋次をよそに私は笑った。

『飛ばないように気をつけてねー…"空斬撃波!"』

そう唱えた瞬間、刀から出た風が斬撃に変わって辺り一帯に亀裂が入った。

「ぐわぁぁぁあ!」

小さな結界が割れてギリアンが出て来た。

『恋次!』
「おう!…狒骨大砲!」
「ぎゃぁぁぁあ!」

消えていく虚に、二人で息をついた。

卍解を解いた時、外からまだ残っていた結界が割られた。

「名字!」
「恋次、名字、大丈夫か」

『朽木隊長!、日番谷!?』
「なんでここに?!」

座り込む私達に近づいてくる朽木隊長と日番谷。

「兄達の霊圧が感じられなくなり、通信が途絶えたため様子を見に来た」
『なんで日番谷?』

頷きながらも日番谷に言うと、彼は眉をしかめて言った。

「たまたま六番隊に行った時に、朽木が出て行く時だったから一緒にきただけだ」

なんだよ、その迷惑そうな表情は。
頼んでないのになんでそんな顔な訳?そんなに…嫌い?
そう考えるとなんだか寂しかった。「終わったようだな…」
「はい!たった今!あ!名前大丈夫か!?」
『…多分ね』

動かない上に止まっていない血を見て苦笑いを浮かべる。

「怪我したのか!?」
『ん?あー…まぁね、って日番谷に迷惑かけないからそんな顔しないでよ』
「……来い」
『は?って、うわっ!』

何がどうなってるのか分からないけど、私は日番谷に引っ張られてその場を後にした。


―…
「このキズと身体でよく戦いぬきましたね」
『あはは…身体は仕方ないですし、左腕は使わなかったですから…』
「2〜3日はここに居てもらいますからね」
『うっ…はい』

有無を言わさない卯の花隊長の言葉に頷くと彼女は笑顔で立ち去った。


『で?日番谷はいつまで黙ってるの?…迷惑かけてごめんってば』
「…」

痛いぐらいの沈黙に私がため息を漏らすと彼はようやくこっちを見た。

「…別に、迷惑だと思ってない」
『そう?なら良かったんだけど、じゃあなんでそんな顔してるの?』
「……ただ、心配だっただけだ」
『え……?』

気のせいじゃないかと思うぐらい小さな声で発された言葉に私は首を傾げた。

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