私と君と理由

あの一件から知り合いになったこっちの伊達政宗君。
朝陽と月夜に教えたら会いたいと言っていたから今度遊びに行くときにでも連れて行こうと思う。

それにしても…


「政宗、」

「Ah-ha?」

「…外に出て、夕露に会いたいならまずうちに言ってね。うちもこっちの政宗とはまた喋りたいからさ。」

「………OK」

「わかってんならいいよ。じゃ、いってくる。」

「おう」


…嘘、だろうなぁ。
迷子になられちゃ困るっていう意味で言ったんだけど、気づいてはくれてないようだ。

この間会ったあの日から政宗がしきりに空を見るようになっていた。
まぁ単純に帰りたいんだろう。夕露と一緒にいたときのあの笑顔を見れば嫌でもわかる。

大体、なぜ彼等はこの時代へとやってきたのか。
それだけが凄く気がかりだ。


「…ただの時空の歪みに巻き込まれた、とかならいいんだけど。」


もっと別な、必要な何かがあったとしたら。
それを終えるまで帰れないとなってしまったら。

それはとても、面倒な状況になってしまう。


「…お願いだから、さっさと帰ってくれよ……」


夕露が空を見上げたとき、政宗が家を飛び出していたのはまた別な話。



私と君と理由
(“それ”を見つけたのは)
(偶然か、それとも。)