とりあえず店員が運んできたオレンジジュースを飲んで一息。
あーなんかもう喋るのも面倒だわ。これからおこることなんとなく予想できてむなしいくらい。目の前にいるアメリカン気取ってるやつはどっからどうみても政宗だし。ああもうちくしょう学校さぼらなきゃよかったか。
「…とりあえず自己紹介しとくわ、うち夕雨夕露。表裏高校通ってます。」
「…伊達政宗、婆裟羅学園の高等部に通ってる。」
「「………」」
婆裟羅学園って、確かエスカレーター式だったような。朝陽が最初ここに行こう!って話を持ちかけてきたけど遠いから断った記憶がある。最近朝陽から聞いた話によるとイケメンが多いとかなんとか…
っておっといかんいかん、思考をもとに戻そう。
つまり彼は家にいる政宗とはまた違った人だということだろう。姿形が問題じゃねぇ、問題なのは魂だ!みたいな?
「あー…んとさ、うちときみは初対面…だよね?」
「あぁ、お前とは初対面だな。」
「…じゃあ、うちの名前知ってたのって、もしかしてもしかしてる?」
「…そっくりそのままとりあえず返しとく」
ううん、どうやら彼はうちと同じ状況下にいるらしい。つまり彼は別世界から来たとかじゃなく本当にタイムスリップしたのかもしれないな。
そんなことを思いながら、店員が運んできた料理に舌鼓をうった。
▽△
まぁ2人して無言でご飯を食べて、飲み物でも頼んでまだ話しててもよかったんだけどなにしろうちは…うちらは迷子だ。少しでもわかる道にでなくちゃあ始まらないだろう。
適当に歩きながら会話をつむぐ。
そうかそうか、うちもこちらにきているのか。
「…つまりそちらの私は忍なのか」
「ああ。そっちの俺は夕露に聞いた通りのようだな」
「へぇ、そちらのうちはちゃんと情報をくれるのか」
「Ah?そっちの俺はくれねぇってのか?」
「どうやらまだ全てを疑っているようでね。武将として判断は正しいものだと思うけどこちらとしては情報が欲しいんだよね。過去なんて触れられるものでもないし。ぶっちゃけた話とても興味がわく。」
「…やっぱてめぇ夕露だ。私利私欲かよ。」
「全てを悟ったような話し方は好きなのさ。なんかかっこよくなれた気分になる。そちらの私が一体どういう理由でこういった話し方をしているのか判断はつかねるがまぁ普段できないこの話方をするのも楽しいものだ。」
「やめねぇかその口調?夕露と話してるみてぇで寒気がする」
「何も間違っていないじゃないか。今現在こうして夕雨夕露と伊達政宗は喋っている。何一つ文章は間違っていないよ。」
「お前わかってて言ってるだろ」
「当たり前じゃないか」
いやぁ人をからかうのは面白いなぁ。
そんな感情にかられながら脇道をちらちら。あ、人がいるや。
「まぁからかうのはこのへんに―――あれ?」
「Ah?」
「…政宗?」
「どうした」
「いやきみじゃなくて…あれ?うち?」
「――夕露!?」
適当に歩いていて見つけたのは
なぜかクナイを持っている女と――
―――どこから持ってきたのか、鉄パイプを持っている政宗だった。
私と僕と私等
(と、とりあえず止めにいくよ!放置だめ、絶対!)
(Shit、なんで今日はこうも面倒事が続くんだ!!)