私と青いのとご飯

うちは今、悩んでいた。

昨日の夜徹夜ゲームに乗り込もうとして母親に怒られ渋々兄と2人で自室へ戻り寝たのは覚えてる。つまり、酒を飲んで暴れたりなんかしてないし出かけてもいない。引きこもって遊んでようとしただけである。

さて、そこで問題だ。
ではなぜこの全体的に青くて腰に海にもぐるときとかに足につける河童の手みたいな大きな水かきみたいなのがついていて目に眼帯なんていう確実になんらかの能力がついてたり悲しき過去もってそうだなぁみたいな、まぁなんていうか全体的に重そうな格好をしている時代的に酷くおかしい人が部屋にぶっ倒れているんだろう。ああなんかもう自分で言ったわりに何言ってるのかわかんないやこれ。


「…不法侵入を疑うべきか、間違って自分が連れ込んだことを疑うべきか、兄がコスプレに目覚めたことを疑うべきか……。」


最後のは確実に違うであろう。仰向けのおかげて見えるがこのぶっ倒れている人間は茶髪だ。残念なことにうちの家は私以外茶髪はいない。あぁでも母は染めているから茶髪だな。明るくなりすぎて金に近くてどうしようって言ってたけど。

まぁとにかく父も母も兄も地毛は黒髪なのだ。なぜうちは茶髪かというと父のお母さんが茶髪だったらしい。たぶんそれだろうと結論はついていた。

そしてならば兄がコスプレをするために染めた、と考えてもいいしカツラをかぶっているということにしてもいいのだが如何せんそれはないだろう。あの人はむだにまじめだ。髪を染めるなんてこともワックスで固めるなんてこともしないような人だ。まぁそのまじめさと優しさを兼ね揃えた上に女性の母性本能をくすぐるぐらいの天然をもっていてかなりのモテモテだ。うちからすればただの馬鹿で使えるパシリくらいの印象しかないのだが。


「………とりあえず、起こそう。」


ベッドから降りてぶっ倒れている男に近寄る。そこでふと考えた。腰についているのは普通に考えて刀だろう。刀が6本。強盗にしては豪快だ。というか刀は重いと聞いたことがあるのだが…、というか6本も一体何に使うのだろうか?六刀流?いや、かの大剣豪になる男だって3本だ。どうやって6本も扱うというのだろうか。

思考がだいぶ変なところまで飛んでいるが、つまりはこの男が強盗だった場合を夕露は配慮していた。強盗ならば普通に起こしてはいけまい、と思ったのだ。まぁだからといって放っておくということもできないし親や兄を呼ぶために部屋を出て行くという行為もいろいろ危険だからしたくないのだが。

夕露は少し考えたが、すぐに考えるのを破棄して男を起こしにかかった。強盗だった場合はそのとき考えよう。という結論に達したらしい。


「はいはーい、起きようかー。こんなとこで寝てたら風邪ひくよー。」

「………」

「…朝ご飯ですよー起きてくださーい」

「………」

「…死んでる?いや、息してるし心臓動いてるからそりゃないか…。もっと大きな声で叫ぶように?OKわかった。小学校高学年であまり叫ぶという行為をかっこよく思わなくなり大声で喋ったりしなくなったが兄に劣らずも超大声だった私の美声を耳かっぽじってよーく聞きやがれ」

「………」

「はぁぁ………、起きろっつってんだろ青いのおおおおおおおお!!!」

「!? うるせえええええええええ!!」

「お前のがうるせええええええええええ!!」

「朝っぱらから騒いでるてめぇらのがうるせぇ!」

「すいまそん母上」
「soery,」


まさかの母上登場にどきどきを隠せない俺様。いやぁ久々に叫んだら超喉痛いんだけど。でも青いの起きたし、丁度いいか。
母さんが見知らぬ青いのを見て、うちを見て、凄く不可解そうな顔をするがまぁとりあえず、と思ったのかなんだかは知らないけど「朝飯できてるからさっさときな」とだけ言って行ってしまった。え、行っちゃったよあの人。うちにどうしろってのさこの状況。

青いのもなんだか唖然としているようだし、とりあえず喋るしかないことを思い知った。



▽△



とりあえず喋ろうと思ったのだが如何せんうちの腹が限界だったのでリビングへ直行。お兄さんは動くたんびがっしゃんがっしゃんいってて結構煩かった。まぁ格好も含め家族会議(父不在)しながら喋ればいいと思う。

そしてまぁ、食事中なう。


「おかわりは自分でよそいなよ」

「おかずのおかわりは有りですか」

「なしに決まってんでしょーが。バランス考えろバランス。」


兄につっこみをいれながら飯を食う。ちなみに青い人にも飯は出してある。もちろん食っている。最初リビングにこの青いの連れて行ったときはさすがに兄が超驚いていた。だが飯を前にすると何も言わなくなった。悲しきかな。我が家ではなによりも大切な優先事項は飯なのだ。熱がでても吐いても飯を食うのだ。そのくらいうちと兄は異常なのだ。


「Ahー、これなんだ?」

「ハンバーグ。肉だ肉。」

「マヨネーズつけるか?」

「何言ってんだケチャップだろjk」

「jkはお前だろばか」

「そうでした。」

「OK.わけわかんねぇから全部試す」


そして全部試した結果(ケチャップ、マヨネーズだけではなく醤油、塩、砂糖、からし、わさびetc…)彼はソースとにはまってしまった。ケチャラーとマヨラーの他にソスラーも増えてしまうのか。うちの家の調味料の消費が少しだけ気になった。




私と青いのとご飯
(ごちそうさまー)
(洗い物ちゃんと下げてね)
(うぃ)
(梨があるから、それ食べながらお話しようか