05

予想通りに、起きていた両親のどちらかに言われて俺様の部屋に来た人達は真田の旦那と才蔵……………と、なぜか超笑顔の伊達の旦那に前田の旦那に長曾我部の旦那にかなり不機嫌顔な毛利の旦那がいた。

………うん、いや…うん。
なんで全員勢ぞろいなのか、むしろなんで今日に限って朝から全員集まってるのか全くもって理解ができないけど……状況的には、宜しくないかな!


「………佐助、どうゆう状況か10文字で説明しろ」

「起きたらいました!」

「爆ぜろ」

「ちゃんと10文字以内で説明したのに酷い!」


両手で顔を覆えば「誰が10文字以内と言った、10文字で説明しろと言ったろう」と無表情で言われた。畜生以外と10文字ピッタリって思いつかないもんなんだよ…!

それにしても…やはり状況を解決、というよりは悪化させる原因にしかなってない気がする。こいつら。
「Hey猿飛!なんでこんな面白い状況になってるの俺に教えねーんだよ!」「おおおおい毛利!これってドッペルゲンガーじゃねーの!?俺死ぬんじゃねーの!?」「知るかっ!揺するな酔う!」「いやぁー動画にアップしたら色々と視聴率上がりそうだねぇ!」「佐助が2人いるだけでも胃が痛くなってくる…」etc...

やっぱり来ない方がよかった、絶対よかったよ!
わいわいとはしゃいでいる現代組をよそに、驚愕と警戒の色を強める過去組。あーもうさっき説明したじゃんかあんたらと顔全く同じ人いるって…まぁ知ってても警戒を解くわけにゃどーせいかないんだろうけどさ、


『……才蔵もいるとか、本当なんなのさここ…』

「だからパラレルワールドの戦無い平和な未来世界だっつってんでしょ」

『…そーだったね、確かに弱そうだ』


ぼそりと猿飛佐助君が呟いた言葉を拾い、返せば諦めたような感じで小さく呟く猿飛佐助君。他の皆は騒いでいて聞こえなかったようだけど、聞こえていても特に問題などない呟きであった。

確かに不良だったり暴走族だったりせど、結局は人も殺したこと無い人間なのだから弱いのなんて当たり前。自覚しているとかじゃないく、客観論的にアニメと同じ力を持つ人間などいないのだから、アニメキャラがこの世界にきたらそりゃあんた以外弱いのなんて、当たり前すぎる話なわけで。

冷めてる、なんていわれても今の時代の人間なんてこんなもんさ。


「…さーてと、まぁ…そろそろ両親にお話にでも行ってこようかね。今日が最後だし、ちゃんと会っときますよっと。皆ここにいてねー…っと、猿飛君は一緒に同行願いまーす」

『は?なんで俺様が…』

「百聞は一見に如かずってこと。他の連れてってもあの人達のことだから皆がコスプレしてるくらいにしか捉えないだろーし。じゃあ皆は勝手にお喋りしててねー、武器使用禁止よろしく」


じゃ、と右手で敬礼をするように言い猿飛君を問答無用で引っ張って行こうとすれば才蔵が手伝うかと聞いてきたので心からお願いさせてもらった。

実際、もう疲れたよ俺様…。

真田の旦那の無理難題な遊びより、真田の旦那が押し付けてくる重労働より、伊達の旦那が巻き込む野菜騒動より、片倉の旦那の罰でやらされる畑仕事より、一日で全部起こって満身創痍になった日よりも精神的に酷く疲れた。


「才蔵、とりあえず理由はそっくりそのまま言うべきかな…」

「…お前の両親ならなんでも信じるだろう、証言が2人なら信頼度も増すから来ただけだ。内容は自分で考えろ」

「ですよねー…」


まぁ、そのまんま言わせて貰いますか。とへらりと笑って才蔵に告げればいつも通り無表情のまま、俺もそれっぽくフォローは入れてやるといわれた。才蔵大好き!さすが武田のオカンだね!!

そんな俺様と才蔵の様子を観察している猿飛君のことなんて、別段気にも留めなかった。




集合
(『……、…平和ボケ、かぁ…』)