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『武器を持つな?Ha!何クレイジーなこと抜かしてやがんだ?』

『この槍は某の魂同様…手放すことなどできん!』

『あんたが俺様ならわかってるでしょ?無理♪』

『そりゃあ…無理な相談ってやつだなぁ…』

『手前の話が本当だとしても手前の前で武器を手放すなど、俺は馬鹿じゃねぇ』

『貴様の命令など誰が聞くか』

『こいつァ俺の相棒っつってもいいくらいの付き合いでさ…見逃してくんね?』


…はーい、予想通りの答えありがとーございました。
イラつくどころか予想通り過ぎて呆れしかでてこないぜ…。少し悟れど、でもそんな武器を目撃されても困るし、武器を持ち歩かれても困るわけで…。

でもどう頑張っても俺様が俺様である限り、こいつら納得なんてしてくれねーだろうなぁ…どうしようか?


「だぁーから、外に出たいならその鎧も、兜も、武器も、全部下ろさないとダメ!また銃刀法違反の話からしなくちゃいけないの?頭デッカチなおじさん達だこと、」

『Ah?誰が頭デッカチなおじさんだと…?』

「あんたらに決まってんでしょ、だってどう見ても全員俺様より年上じゃん。皆もう20近いでしょ?というかむしろ平均年齢25くらいじゃないのあんたら?あーやだやだこれだから古風主義の頭デッカチのじーさんは…」


やれやれ、といわんばかりに大げさにポーズを作り溜息を吐けば幾人かの顔に青筋。あっはーそんな感情丸見えじゃやーよ?元忍としては格好の餌だけどねーん♪

顔には一切出さずに、むしろある程度KYを装って会話をする。
演技とか忍やってると自然と慣れてくるんだよね、今の自分本物かわからなくなるくらいには自然になってるんだよね。嬉しくねー変化、と思ってたけど今からすれば転生しても使えてよかったぁ!という嬉しいスキルなのだ!

まぁ、それなりの薄い関係しか持たない現代だからこその嬉しいスキルなんだよね。


「別にカーテン締め切ってる常態なら家で持ち歩いていいし手入れもしていいって言ってんじゃん。ただ外に行くときは持ち歩き禁止。カーテンを閉めてない常態での所持も禁止。あと使用も禁止。家壊されたらたまったもんじゃないしね…外でも勿論使用禁止」

『そ、それでは腕が鈍ってしまう!』

「卿に入っては卿に従え、ってね。木の枝とか新聞丸めてチャンバラごっこくらいにしてよ、あとは普通にランニングとか腹筋とかで頑張ってっての。腕鈍るとか知ったこっちゃねーよ、この時代でその力は不要…いや、異端なんだからさ」


この時代に婆裟羅なんて力扱う人も、持ってる人もいないの。もちろん俺様もね。俺様は気配が察せて気配が消せて、少し身体能力が高いだけの人間。屋根の上なんてもちろん渡って走れない。それだけこの時代は平和ボケしていて、それだけこの時代は平和なのだ。

その馬をいくら伝えても理解しない、しようとしてくれない武将共に腹が立つ。

正直もう追い出して自分で暮らせと言いたいところだが如何せん、彼等の顔と自分達の顔は老けの違いはあれど殆ど…というか、全く一緒なのだ。
本人同士だから当たり前だが、そんな同じ顔で、しかも同じ地域で色々やらかしてもらうと凄く困る。死ぬほど困る。将来的な意味でかなり困る。いくら別人と言っても顔が似てるから世間では彼等がやったことを俺様達がやったと勘違いしても全くおかしくはないのだ。
そんな不必要な非日常は、こちとら全く望んでないんだよね。


「普段の荷物で鋏やカッター持ってても危険だと思われる時代なのにんな刀なんて許可書も貰ってないのに持ってたら完全に捕まるっての…」

『はさみやかったあっつーのは知らないけどさ…でもこの家色々刃物置いてあるじゃないか。かあてんとやらも開けっ放しだし、それはいいのかい?』

「…包丁とか日常品だし、むしろ無い方がおかしいし」

『じゃあ刀も日常品だ。無いほうがおかしい』

「あんた等の時代と俺様達の時代一緒にすんなって…!」


どうする俺様、びっくりする程に話がまとまらないぞ…!
取り上げて全部俺様が管理する、などと言っていない分凄く譲歩してやってるのに。こいつ等は全くと言っていい程理解してくれない。あー、顔一緒じゃなかったらさっさと見捨ててるっつーのにさ……本当、マジ無いわー

はぁ、と深く溜息をつくと共に一つの電子音。
その音に驚き構える武将共にこっそりと嘲笑いを零せば、猿飛佐助君に睨まれた。



この状況をいい意味でか、悪い意味でか…どちらかの意味で破壊してくれる人達が現れるまで、後30秒………。




時代
(「時間的にも、絶対旦那達だろーなぁ…」)