砂糖の中の気づかれない塩

俺の弟は、『俺様』によく似てとても社交的だ。


「いざやくん!おえかきしようよ!」

「うん、あ。にいさんもいい?」

「あー俺はいいから、臨也いってきなー」

「夕露くんがいってるならいいじゃん!いこう!」


女の子に連れられながらもこちらをちらちら見る弟に手を振って見送る。
悪いけど、さすがに幼稚園児みたいな絵は書けないよ俺様…うまかったわけでもないけど、元女の身としてはかなりお絵かきはやってきてるわけだし。幼稚園児がシャーペン使ってちゃんとした人を書いてたら怖いよむしろ。

俺は俺で別な子達とそれなりに会話したり遊んだりする。あくまでもそれなりに、だから特定の子が多いかな?まぁ別に大人しいキャラで通すわけじゃないから根暗ってわけでもないんだけどね、


「夕露くんは相変わらず大人びてるわねぇ」

「俺皆のお兄ちゃんだからね!」

「いやおまえいざやのにーちゃんなだけであってべつにおれらのにーちゃんじゃねーだろ」


つかおまえみたいなにーちゃんいたらおれいえでする、と舌足らずな言葉で言われるので酷いと叫ぶ。この子は特定の子の中でも結構仲のいい子だ。才蔵みたいな辛辣さに毎日涙が出る。

実はほんのりと、ホームシックな気分だったりするのだ。
私だって俺だって俺様だって人なのだから、懐かしんだり戻りたくなったりする。

時代的にもしかしたら私だった頃のみんながいるかもしれない。もしかしたら特殊成り代わりで死んでいった皆がこの時代で生きているかもしれない。何度も思ってはみたものの、日ノ本という広い土地で確証もない人間を捜し当てるのなんて、そんな無駄なことしたくないわけで。


私だった頃にやっていたブログとかにアクセスしたり、前いた世界、戦国BASARAで検索かけたいなぁ、と思いながらも

俺は今日も幼稚園児をやっています。




砂糖の中の気づかれない塩
(まぁでも、今ここも充実してるのは本当なわけでして)
(できれば戦があれば完璧かなぁ、なんて思う俺は)
(たぶんきっと、この世界の生ぬるさが大嫌いなんだと思う)