別れ道を足したから

「うぐっ…キモチワル…」

「…貴様、海賊やるのやめたらどうだ?」

「アニキー!死なねぇでくだせぇ!」

「貴様等もいい加減慣れろ」


毛利の城についてすぐ、俺は倒れた。毎回のことだがなんでこうも俺は船に弱いのか。これは彼の体のはずなのに。
やはり精神が俺ということで性質も変わったのか、それともかかれていなかっただけで本当に彼は船酔いが酷かったのか…これはなさそうだ。
吐いたことは今のところ一回もない。むしろ吐いた方が楽なのかもしれないけどどんなに酔おうと吐けないのだ。これはこれで辛い。

ごふっと息を吐けば、野郎共がアニキー!と叫んでくる。いやいや煩いからお前等。いい加減慣れてくれお願いだから。


しばらく行き倒れになりつつも、どうにか起き上がれるまで回復する。
毛利はもう理解しているのでなにもいってこない。理解されるまで繰り返す俺って…


「…で、今日は何用ぞ」

「あぁ…家康の野郎変わっちまったからなぁ…西軍、入ろうと思ってよ」


そこまで言えば、表情など全く変わりもしないが一瞬だけ目の色が変わる。別にこんな嘘を嘘で固めることしなくても言ってくれればすぐ入ってやったのに。そんなことを頭の隅で考えながら毛利の言葉を待つ。


「…わかった。では出るぞ」

「は?出るって…どこにだよ」

「貴様は馬鹿か?…西軍総大将のところに決まっておろう」

「…え、いやいやちょっと早すぎだろう。アポだって取ってねぇだろ。」

「あぽとやらがなんなのかは知らぬが、大谷にはもう話しは通してある。あとは行くだけぞ。」

「おいそれ表の話じゃねーだろ。いいのかさらっと言っちまって。」

「貴様に言ってもなんの問題もあるまい?」

「いやそりゃそうだけどよ…」


一応信用されていることに喜べばいいのか…いやでもやっぱなんか違う気がする。

絶対これなんか違う、そう思いつつも毛利と共に大阪城へと向かった。




別れ道を足したから
(でもまぁ、お前が向こうにいって裏切れといえば)
(そうしてやってもよかったんだけどなぁ)