04

あれから俺は夕雨から鍵を没収した。夕雨は拗ねていたが、俺が本当にお願いしているのがわかったのか受け入れてくれた。
それから学校の方の授業なのだが、生憎俺は勉強ができない。できるはずがないのだ、引きこもってたし。第一一夜漬けで適当に覚えて適当に本気でやった入試だったのだから。とりあえずは欄は埋めたけどたぶん半分も当たってない気がする。答えが返ってこなかったからわからないけど。

そんなわけで、頭のいい夕雨は普通に授業についていってたが俺は全くわからなくて。昨日のことも理解し難くて、しょうがなくまた不貞寝した。



授業等が終わった後、夕雨に起こされる。
どうやらずっと寝ていたらしくもう放課後らしい。あ、ちゃんとお昼に起きてるからな?

荷物を持って寮に帰っている途中、夕雨が誰かに呼び止められていた。
確か昨日夕雨と仲良さ気にしていた男子だった。


「塾、行かねぇのか?」

「あーうん、あたしよくわからなくて。」

「俺も全然わからねぇから心配するなって!」

「でも…」


ちらりと俺の方に視線をよこせば、妙に馴れ馴れしい男子も視線に気づいて俺の方を見る。見覚えがないのか頭を傾げていた。そういや俺あんときズボンとパーカーだったな、しかもフード被ってたし。

別段隠すことでもないので名前を告げれば女だったことに驚かれた。黙れこのやろう。


「へー、じゃあ夕露と夕雨は昔から仲良しなんだな!」

「そうだよー、今回この学園に入れたのも軌跡同然だしね!」

「いいなー俺仲いい奴なんていねーからそうゆうの羨ましいぜ」

「ふっふっふ何を言っているんだい奥村君よ!あたしと奥村君はもうマブダチだろ☆」

「マブダチ…!」


お前なにどこぞの青春漫画にありそうなセリフ言っちゃってるわけ?奥村も感動してるなよ、二次元だからカッコいいと思うだけで三次元で言うとただの臭いセリフにしかなんないんだぞ。というか一緒にいる俺が恥ずかしいからやめてほしい。

完全に空気を貫いていると、どこからか眼鏡男が現れた。
そういえば先生だったなーと思っていたら目の前で夕雨がさらわれていった。


「…あぁん?」


ちょっとドスが聞いた声になったが、間違ってはいないはずだ。
半分キレながら俺も鍵を使って向こう側へ飛び込んだ



凍りついた表情
(今日は転入生がくるんですよ?)
(え、女の子?女の子!?)
(はい)
(うっわーお友達になれるかなー!)