担任の話を上の空で聞き流し、解散となる。夕雨に連れられ寮に来てみれば、なぜか机の上に一枚の手紙がおいてあった。
…いや、不気味すぎる。
どこのホラーだと内心思いつつ手紙を開ける。中には一枚の紙と二本の鍵が入っていた。
「…なんだこりゃ」
「んー何々?“初めましてこんにちは、このたびは御入学おめでとうございます。”」
『初めましてこんにちは、このたびは御入学おめでとうございます。今回は些細ながら祝いの意を込め、プレゼントを用意させて頂きました。』
「…この鍵のことか」
「2個あるってことは1個はアタシのだよね?」
『その鍵の使い方はとっても簡単!適当な鍵穴に差し込み、回してみて下さい。さすれば、貴女方が体験したことないような、不思議なことが起こるでしょう…。』
「棄てるか」
「ちょ、夕露ストーップ!」
「こんな怪しいもん持ってられるか、棄てるぞ」
「待ってよ!試してみてからでいいじゃん!」
「99%何かある。だから俺はやりたくない。」
「あるのわかってるならやろうよ!?人間好奇心と欲望のまま動かなきゃ!」
「だめだ、これだけは絶対譲れねぇ。」
「…ぶー、ケチ!いいよアタシだけでやってくるから!」
「あ、おい!」
急いで部屋の扉を開くが時既に遅し。向かいっ側の扉が閉まった後だった。
「あー畜生…神隠しかなんかの類か?」
向かいの部屋の扉を開けてみるがそこはただの飽き部屋。中はガランとしていて隠れる場所なんかなく、そこに夕雨がいないことを物語っていた。
…使うしか、無いのか…。
手に持ってる鍵を見て、溜息をつく。どうしよう、過労死しそうだ。
とりあえず一旦部屋に戻り、制服から普段着に着替えた後、いざっつーとき用の鋏を持ち俺は鍵を使った。
▽△
鍵を使って扉を開けてみれば、なんか変な…中華風なところ?に出た。
あ、やば。どうしよう。と、思ったのもつかの間、
アタシが出て来た扉とは別な扉が開き、そこからは2人の男が出て来た。
「あ」
「お?」
出て来たのは竹刀が入っているのであろうバック(…て言うのかな?)を背負ったイケメンの男の子と、白とピンク色したピエロ風味のクマが酷い男性だ。背たっか!
アタシと少年が反応に困ってると、ピエロ風味な男性が声をかけてきた
「黒崎夕雨さんでしたね?初めまして、学園長のヨハン・ファウスト5世です。」
「あ、初めまして…って学園長!?」
「はい☆」
こんな常識はずれな格好した人が学園長だったなんて…。少し呆気に取られてると、今度は少年の方がアタシに話かけてきた。
「奥村燐っつーんだ、よろしくな。」
「神崎夕雨です!よろしく奥村君!」
「さて、自己紹介も終わったばかりですが神埼さん、奥村君。遅刻してしまいますよ?」
「へ?」
「あ、しまった!早く行こうぜ!」
「え、いや、ちょ、待っ…!」
奥村君に引っ張られつつ、転ばない用に体制を立て直す。少し走ればピエロさんが此処ですよ。と一つの扉を指差した。
予断だが、入る前にピエロさんはわんこさんに成った。なにやら学園長がいたら緊張するでしょう?とのこと。まぁ特に気にすることでもないので突っ込まず部屋に入った。
“おれ”は嫌った。“あたし”は望んだ。
(頑張れ俺、負けるな俺!早く鍵を回すんだ俺!)
(…奥村燐だ、よろしくな)
((え?この雰囲気の中挨拶とか…こいつ、できる…!))