02

担任の話を上の空で聞き流し、解散となる。夕雨に連れられ寮に来てみれば、なぜか机の上に一枚の手紙がおいてあった。

…いや、不気味すぎる。
どこのホラーだと内心思いつつ手紙を開ける。中には一枚の紙と二本の鍵が入っていた。


「…なんだこりゃ」

「んー何々?“初めましてこんにちは、このたびは御入学おめでとうございます。”」


『初めましてこんにちは、このたびは御入学おめでとうございます。今回は些細ながら祝いの意を込め、プレゼントを用意させて頂きました。』


「…この鍵のことか」

「2個あるってことは1個はアタシのだよね?」


『その鍵の使い方はとっても簡単!適当な鍵穴に差し込み、回してみて下さい。さすれば、貴女方が体験したことないような、不思議なことが起こるでしょう…。』


「棄てるか」

「ちょ、夕露ストーップ!」

「こんな怪しいもん持ってられるか、棄てるぞ」

「待ってよ!試してみてからでいいじゃん!」

「99%何かある。だから俺はやりたくない。」

「あるのわかってるならやろうよ!?人間好奇心と欲望のまま動かなきゃ!」

「だめだ、これだけは絶対譲れねぇ。」

「…ぶー、ケチ!いいよアタシだけでやってくるから!」

「あ、おい!」


急いで部屋の扉を開くが時既に遅し。向かいっ側の扉が閉まった後だった。


「あー畜生…神隠しかなんかの類か?」


向かいの部屋の扉を開けてみるがそこはただの飽き部屋。中はガランとしていて隠れる場所なんかなく、そこに夕雨がいないことを物語っていた。

…使うしか、無いのか…。

手に持ってる鍵を見て、溜息をつく。どうしよう、過労死しそうだ。
とりあえず一旦部屋に戻り、制服から普段着に着替えた後、いざっつーとき用の鋏を持ち俺は鍵を使った。



▽△



鍵を使って扉を開けてみれば、なんか変な…中華風なところ?に出た。
あ、やば。どうしよう。と、思ったのもつかの間、

アタシが出て来た扉とは別な扉が開き、そこからは2人の男が出て来た。


「あ」

「お?」


出て来たのは竹刀が入っているのであろうバック(…て言うのかな?)を背負ったイケメンの男の子と、白とピンク色したピエロ風味のクマが酷い男性だ。背たっか!
アタシと少年が反応に困ってると、ピエロ風味な男性が声をかけてきた


「黒崎夕雨さんでしたね?初めまして、学園長のヨハン・ファウスト5世です。」

「あ、初めまして…って学園長!?」

「はい☆」


こんな常識はずれな格好した人が学園長だったなんて…。少し呆気に取られてると、今度は少年の方がアタシに話かけてきた。


「奥村燐っつーんだ、よろしくな。」

「神崎夕雨です!よろしく奥村君!」

「さて、自己紹介も終わったばかりですが神埼さん、奥村君。遅刻してしまいますよ?」

「へ?」

「あ、しまった!早く行こうぜ!」

「え、いや、ちょ、待っ…!」


奥村君に引っ張られつつ、転ばない用に体制を立て直す。少し走ればピエロさんが此処ですよ。と一つの扉を指差した。

予断だが、入る前にピエロさんはわんこさんに成った。なにやら学園長がいたら緊張するでしょう?とのこと。まぁ特に気にすることでもないので突っ込まず部屋に入った。



“おれ”は嫌った。“あたし”は望んだ。
(頑張れ俺、負けるな俺!早く鍵を回すんだ俺!)
(…奥村燐だ、よろしくな)
((え?この雰囲気の中挨拶とか…こいつ、できる…!))