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正十字学園。今日、俺が入学する超名門と言われる学園だ。

ぶっちゃけなんで俺がここに入れたかなんて知らない。夕雨にここに入ろうと誘われはした。だが俺はここを受けることをせず、地元の高校を受けたはずだ。だがなぜかここの合格通知がポストに入っていた。その後、制服の注文書や生徒手帳が送られてきた(ちなみに地元の高校を受けたとき使った写真が張ってあった。なにこれ怖い。)
かなり不気味で無視しようかと思ったが、母が「合格したって書いてあんだから丁度いいでしょ、夕雨ちゃんと一緒に登校できるし学費払わなくてもいい系っぽいから行ってこい」と言われてしまいいくことに。

父も兄も、母が言ったことに特に異論はなかったらしく腹括って行ってこいとまで言われてしまった。ちくしょうなんで誰も不気味だと思わないんだ。(きっと母達は学費を払わなくて良い、というところに釣られただけに違いない。いや実際それには俺もかなり引かれたが。)


それから真新しい制服に身を包み、ハイソックスを履いて、きらきらぴかぴかな鞄を持って、母達が運転する車に乗ってやってきた。
ついたとたんの反応は家族全員同じだった。もちろん夕雨んちも同じだった。

あとは家族同士仲良く保護者席の方へ行き、俺は夕雨と一緒に体育館に向かうのだった。



▽△



『――新入生代表 奥村雪男』


…はっ、どうやらあまりの暇さに眠っていたらしい。おかしいな、車でも寝てたんだけどな。つーか起こしてくれっていったじゃねーかよ夕雨!…ってこいつも寝てるし。

はぁ、と溜息をはきつつ起こす。揺さぶりながらイケメンがいるぞと耳元で呟けば一発である。


「イケメン…?!どこどこ?」

「あー…今ステージいるやつとか?」

「……本当だ、結構なイケメン…!」

「お前なんつーか…まぁ、いいや。」

「てゆーか新入生代表って入試トップの人だよね?んじゃ超頭いいんだ、夕露とは大違い!」

「いや第一俺入試受けてさえもいないし…あ、終わった。」

「これが最後っぽいね、んじゃ次は教室だ!はぐれんなよ夕露!」

「おう。」


ステージから自分の席に戻る新入生代表さんをちらりと見て―――
もう終わりを告げている先生に視線を移した。

ああ、なんかもう、かえりてぇ。



最初の最初
(夕露!クラス同じだよ!あと寮も!)
(お、そりゃかなりラッキーじゃん。運いいな。)
(いやー人見知り激しい夕露と離れなくてよかったよかった)
(別に人見知りじゃねーよ、お前以外俺にゃいらねーだけだ)
(…あんたなんで男に生まれてこなかったし)