「あれぇ?どうしたの、沢田君?」
「夕露ちゃん!」
寝坊しつつも学校へ向かう最中、重力を無視した髪形の沢田君と遭遇した。どうやら沢田君は凄く焦っているらしい。あれ、そういえば忠犬獄寺君がいないな。珍しいこと。
「こんなところぷらぷら歩いてると襲われちゃうよ?」
「あ、う、うん…ってそうじゃないんだ!つ、次狙われてるのが獄寺君なんだよ!」
「…え?」
「犯人は喧嘩ランキングの下位から順に襲ってるんだぞ」
「リボーン!」
どこからともなく現れた、スーツを着た二足歩行で歩いている赤ん坊。うわぁ、普通に考えてありえないでしょ。やっぱ呪われてるだけあるなぁ。
裏でそんなことを考えつつ表で赤ん坊?喧嘩ランキング?と普通に疑問に思うことを考える。器用でしょ?二つ考えられるんだよ!
「喧嘩…ランキング?へぇ、そんなのあるんだ!皆で喧嘩して決めるのかな?」
「あ、いや…うん。そう、そうなんだ!参加性で、夕露ちゃん達がくる前にやったんだよ!!」
「凄いねぇ。沢田君は何位だったの?」
「いや、俺弱いから参加しなかったんだ…ってそうじゃなくて!そ、それで次は3位の獄寺君が狙われてるんだ!夕露さん見てない?!」
「………見てはない、けど…さっき並盛中生が喧嘩してるって聞いたよ。」
「た、たぶんそれ獄寺君だ!それどこで聞いたの!?」
「あっちの方。行くの?」
「うん!ありがとう夕露ちゃん!」
ぱたぱたと走り去る沢田君。それについていくリボーン君。
手を振って見送りつつ、誰もいなくなった道端で、思ったことを呟いてみた。
「…喧嘩してるんだから、行ったら邪魔になると思うんだけどなぁ。」
さすがダメツナで有名なせいか、それともそれほど友達思いなのか…。
友達思いだとしたら、とんだ馬鹿だよねぇ。
「…ああでも、そんな馬鹿昔もいたかぁ…。」
小さく聞こえる爆発音を背に、学校へと向かうことにした。
今も昔も馬鹿は馬鹿
(いや、馬鹿者というよりは)
(バカ者か。まだ、な。)