「………また、か」
「…丁重にまぁ、毎度毎度よくやるぜ」
9代目に報告だ。
そういい、彼が後にした部屋は――壁全体に大きく血で文字が書かれていた。
『討ち取ったり』
日本語で、しかも古風な言い方で。
大きくど派手に書かれていた文字。
▽△
「んあ?転校?なんでまた。」
「んーなんでも偵察に行って欲しいんだって。俺と夕露で。」
「ふーん。情報は三代目がいれば大丈夫だと思うんだけど…、てかどこの高校?」
「いやぁそれがねぇ…」
「………は?中学校?それに、平凡な並盛中?」
なんでそんなところに偵察に行く必要があるんだ、とばかりに顔を歪める夕露。
やっぱりねぇ、思うよねぇ。俺様だって思ったもん。
「なんかさーあ?いるらしいんだよねぇ〜…
並盛中学校に通う1年生の中に、かのボンゴレ10代目候補が、さ♪」
「! …へぇ、へぇへぇへぇ!」
だんだんと口をにひるに歪ませる彼女に、俺もだんだん口角が上がってゆく。やっぱりねぇ。夕露なら絶対楽しむと思ったんだよねぇ!だって、
俺様が面白そうって思ったんだもん♪
「ね?凄く楽しそうデショ?」
「やばい。今かなりテンションあがった。僕がいくら童顔だからって中学校はないだろとか言いたかったけど今は言わないでいられる!ああどうしようどうしよう楽しみだなぁ、楽しみだなぁ!一体どんな子なんだろう?残酷?冷徹?穏健?男の子かなぁ、女の子かなぁ!あああどうしよう佐助ちゃん!僕今日眠れないよ!」
「遠足前の小学生かって!…まぁ俺様も気持ちは同じなんだけどねー?」
2人して楽しそうに笑う姿は、どこにでもいそうな学生の姿。
数秒ケラケラと笑い続けた彼等は――急に、笑いを止めた。笑顔を止めた。無表情になった。感情がよめなくなった。
「メンバー」
「俺、夕露、風魔、かすが」
「日時」
「今日の内準備、明日には並盛中へ。」
「命令」
「10代目候補の捜索とファミリー候補の偵察。名前、住所、家族構成は勿論。人間関係等」
「…了解した。全員知っているか?」
「風魔がかすがに伝えに行ってる」
「なら大丈夫だろう。さて、それでは準備をしよう。」
パン。と1回手を叩いたと音がした。
次の瞬間にはもう、その部屋に『人』は存在しなかった。
残されたダイイングメッセージ
(任務を言い渡す)
(ボンゴレ10代目候補と守護者候補を発見せよ)