「…まぁそんなわけでここはあんたらからする“もしも戦がない世界に生まれたら”ってこと。こっちからすれば“もしも戦のある世界に生まれたら”だけどね。」
『そんなの信用しろっての?』
「アハー、んなこと言ってないっしょ?でもさっさと理解して受け入れることを俺様は進めるよ」
『…どっちが喋ってるのかよくわからなくなるのだが…』
『旦那とりあえず黙ってようか』
にっこり笑って真田の旦那を黙らせた俺様。ううんやっぱり原作なのかー。とりあえず俺様じゃないことはわかった。あれ、なんかこれおかしく聞こえる気がする。呼び方考えよう。
「そんなに現実が受け入れられないっつーんなら外でも行…だめか、俺様と同じ顔でなにされるかわかったもんじゃない。大体うっすら朝日でてきてるし…。」
『………』
「まぁ今は窓から見るくらいで簡便してねー?俺様だけならまだしも他にも知り合いと同じ顔ばっかだし、出すわけにはいかないんだよね。」
とりあえずカーテンを開けて外を見させる。一応俺様んち一軒屋だからさ、眺めいいのよ?
窓によりたかる戦国からきた皆々を横目に見つつ携帯を開いた。
俺様…ああもう佐助でいいや。佐助はそんな俺様をちゃんと見てたのか携帯を取り上げようとしてきたので軽く交わす。…あ、かわしちゃだめじゃん。普通だと思われなくなっちゃう。
案の定避けられたことを驚いた佐助は俺様を見ていた。
「…送信と。」
今日学校を休むうまを真田の旦那と伊達の旦那、それから才蔵に送る。
こんな早朝にメールしてくんなとか言われそうだけどそれはきっと何か大変なことにあったが違いないとか思って心配で俺様の家にきてくれれば万々歳…、いや。面倒事が増えそうだな。もう送った手前諦めるけどさ。
携帯を終い、顔をあげる。
そうすると、気付かないうちに全員がこちらを見ていたことに驚いた。
「…なに?」
『あれ、なんだ?』
「未来のカラクリ」
『カラクリ!?』
ああ…やっぱり反応してくるよね、長宗我部の旦那…。でもあれ壊されたらたまんないから絶対貸さないよ。
『なぁ!見せてくれよ!なぁなぁなぁ!!』
「嫌だよ!絶対嫌!現代人にとってこれほど大切なものないんだからね!?」
『Hey猿。俺にも見せやがれ。』
「だから嫌だって言ってんでしょ!?聞いてる?耳ついてる!?」
『てめぇ政宗様を侮辱するたぁ…覚悟はできてんだろうな!』
「なにこれ理不尽。ってか部屋ん中で刀抜かないでよ!?極殺モードとか解除して今すぐ!絶対部屋壊すでしょ!」
『猿、猿。それ俺に渡せばあいつ止めてやらねーこともねーぜ☆』
「あんたそう言って1回もちゃんと止めてくれたことないから、その手に乗る気ないから今回は。」
『そうなのでござるか政宗殿!?』
「そうなのそうなのー、『止めてやらねーこともねぇとは言ったが止めてやるなんて言った覚えねぇぜ』とか言ってあと放置なんだからあの子!」
『今政宗殿が2人…!』
『oh…おい、小十郎のvoiceもできるか?』
「できるけど…でもたぶんそっちの佐助君もできると思うよ?」
『おおお真でござるか佐助ええええ!!』
『ほぉ…こいつにもそんな特技が…』
『ちょっと当たり前でしょ!?てかあんた俺様が旦那に変化してるの見てるよね!?見てるよね!!?』
…原作のやつらってこんなにボケキャラだったっけか。
とりあえず佐助が苦労人だっつーのはわかった気がする。やっぱこいつ原作か。って俺様何回確認してるんだ。原作に決まってるじゃんねぇ?
っつーか佐助君っていうの微妙に恥ずかしいんだけど。自分に君付けしてるみたいで超はずい。
「…まぁ、とりあえずあんさん方。あんまり騒がないでね。まだ両親寝てる時間だから。」
『両親がいるのでござるか?』
「まぁね。今日はまだいる。明日から仕事でいないけどね」
『仕事ぉ?戦…はねーんだったな。…農家かなにかか?』
「ちょっとそこそこいいところのサラリーマン。まぁ詳しくは説明するのも面倒だから聞かないで。どっちにしろ明日からいないんだから気にする必要もないっしょ」
メールの返信がきたのを感じつつも、軽く戦国武将さん達の言葉を受け流す。リーマンのことをどう説明していいのかなんてわからないし。それを教えてる暇があるなら別な、今現代のことを教えたほうがまだ時間を有効に使える。
メールを開きながらそんなことを思っていれば彼等からの視線が強くなるのが感じ取れる。そんなに携帯が気になるのか…だが渡さないよ。
「………げ」
やっぱ朝っぱらのせいか真田の旦那、メールなのに威圧感だだもれの返信が帰ってきていた。なにこれ怖い。超怖い。削除してもなんか蘇ってきそう。
才蔵に関しては確かに時間に対することも書いてあったがなにかあったのかと素っ気無くも心配してる様子。さすが元武田のオカン。咎めながらもちゃんと状況を把握する力に長けてるね!
2人に対して返信を書きつつも、とりあえず武器を持ち歩かないことから教えるか。と考えた。
平行世界
(「……俺様の言うこと、聞いてくれる気はしないけどね」)