ツンデレの黄金比は9:1 (4/8)
「…して、どうだ佐助よ」
「ご推察の通り、」
「うむ。…幸村よ」
「はっ」
「別の隊を率いて後方へと行け」
「なんとっ!お言葉ですがお館様、どんな状態にあれど前面から全力で戦うのが武田の流儀で…」
「っばかものぉ!」
「ぐはぁ!?」
お館様と呼ばれた彼――そう、武田信玄に殴られ軽く吹っ飛ぶ真田幸村。 戦だからなのか、それとも話を続けるかなのか空までは飛んでいかない。いや今この状況で飛ばされようものなら俺様が身を挺してでも止めなきゃならないんだけどね。
お館様が真田の旦那に説教たれてる中、才蔵に話しかける。ねぇ、なんで旦那ってお館様の前だとあんなに性格変わるんだろうね?え?知るか?いや、絶対才蔵だって疑問に思ったことあるでしょ。ツンデレもいいところだよ。俺様に対するツンの割合がありえない程だよ!え?日頃の行いが悪い?…俺様まじめっこちゃんだから超まじめに働いてるだけなのに!
2人の殴り愛を見つつ才蔵とお喋り。 俺様のどこが悪い子だっていうのさ!こんなにいい子なのに!今日だってちゃんと俺様自分の部屋片付けたんだからね!皆に「自分の部屋でも掃除しててください」って言われたから!お払い箱感否めなかったんだからね!そこまで言えば才蔵は黙りこくり、そして小声で何かぶつぶつ言ってた。生憎殴り愛が煩すぎて聞こえなかった。
「うおおお!この幸村、必ず役目を果たしてごらんにいれましょうぞおおおお!!」
馬に乗って叫びながら隊士達と行く旦那。ああもうあんまり叫んだらばれるよ!?ただでさえあんた声でかいんだから!お館様限定デレのときのあんたかなり暑苦しいんだから!!この作中で俺様がオカンっぽくなるくらい暑苦しいんだからね!?
そんな俺様の思いなんていざ知らず、走り去っていく真田の旦那を見つめる。 …お願いだからもう少しそのデレを俺様にもくれないかなぁ…できれば給料方面で。
「…そういえば、いいんですか?お館様。幸村様に作戦の本当の目的を伝えなくて」
「申さずともあやつには伝わろう。伝わらねば、それだけのことよ。」
…ま、普通に伝わってそうだよね。お館様と一緒にいると超熱血忠犬になっちゃう旦那だってちゃんと考えてはいるんだし。普段結構冷静で黒いのよ?ちゃんとデレデレタイム中も頭の一部ではきちんと考えてるんだってこと。
「…さーてと、じゃ、お館様。俺様達も行ってきますね」
「うむ」
才蔵に視線で合図をし、その場から一瞬で消える。まぁ一瞬で消えるように見えるだけでただの高速移動なんだけどね!
才蔵と一緒に、真田の旦那が駆けて行った方へと走っていった。
ツンデレの黄金比は9:1 (だが俺様は黒属性ぶっちゃけ苦手なんだよね!) (だって怖いじゃん!) (自分が向けられるわけじゃないならいいのにさ!) (だから一体なんの話をしているんだお前は…)
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