彼等に教えてもらったのは、ある意味予想通りだった。

過激派攘夷浪士兼鬼兵隊総長、高杉晋助
真選組監察部隊兼忍、山崎退
定食屋【雨鴉/あまがらす】店長、鴉終

それがこちらのぼくらの肩書きらしい。


「……ぼくだけ一般人…」

「犯罪者のおれよりぜんぜんマシだろうよォ…」

「おれが警察…でもやっぱりパシリかぁ…」


2人がいろいろと凄いのに1人だけ一般人と嘆く鴉に、犯罪者じゃないだけマシだろうと宥める(実際自分も結構ショックを受けている)高杉と、なんかスケールが大きくなっただけで特に今と変わらないのかぁと思う山崎。

反応は各々だったが、やはり子供なりの反応ではあった。


『…ひとつこちらから注意することができるのは高杉晋助君、きみは立場上酷く危ないということだけなんだ』

「あァ?俺じゃねーのにか」

「高杉君、顔一緒じゃん。そっくりさんじゃん。絶対血繋がってると思われるよそれ」

「そうだよ高杉君。こっちじゃ…命の危険だって、あるんだから…」


ちらり、と腰に差している刀を見る山崎。先程の恐怖を思い出したのか少し瞳には怯えが映っていた。
そんな山崎を見ないフリをした彼、土方十四朗は吸っていた煙草を消し、苦笑する山崎退に視線だけで合図をした。意図に気づいた山崎退は近藤勲と沖田総梧に小さく言葉を投げかけ、2人共それに承知した。


『すまない、少し用ができた。きみ達も時間が必要だろうから後でまた来る』


それらしい言葉を並べて部屋から出て行く4人。
そんな4人に鴉は訝しい視線を投げつけるも、何も言わず見送った。



▽△


『近藤さん、大体尋問は終わったぜ』

『…そうだな』

『近藤さん。こいつらどうするんですかィ?』

『うーん、どうするったって…確実に家は無いし、保護っつー形をとってもいいが…』

『…問題は高杉ですか?』

『………、』

『…真選組に高杉がいるって噂が広まったらいろいろとやばいですもんねィ』

『…そうなんだよなぁ、屯所で預かるのはまず無理だろうな…でも…』

『誤認逮捕なんてことがあっても困りますよね』

『間違ってはいないから誤認、っても言えねーし…』

『……あ。いいこと思いつきやしたぜ土方さん』

『なんだ、言って見ろ』

『こーゆー面倒なことなんでも引き受けてくれる場所があるだろィ?』

『? ……!あいつんとこかよ…チッ』

『でも、一番確実かもしれませんよ』

『俺は賛成だ。あいつなら悪いようにはしねーと思う。』

『近藤さん!』

『トシ、今は意地張ってもしょうがないだろ。あいつらを放置していくわけにもいかないんだから。』

『…わかってらァ、山崎ぃ!』

『はい。連れて行きますね』

『事情も説明してこい、後から俺等も行く』

『了解』


そう言って去って行く山崎退を尻目に、彼土方十四朗は小さく舌打ちをもらした。




ぼくらの立場
(まだぼくらは)
(どれだけ大変な立場に立っているか)
(気づけなかった)