『…じゃあ、土方少年と沖田少女に会いたいときは僕の店に来てくれればいいよ。そこの銀髪の人が知ってるから教えてもらってね』

「わかったよ。じゃあね、十四郎君。ミツバさん」

「おう、じゃあな終」

「じゃあね終ちゃん、退君、晋助君」


あまりにも名前がごっちゃになることを伝えたら下の名前で呼ぶことになっていた。少し呼びなれない感で戸惑うけど、いずれ慣れるかな。…慣れる前にできれば戻りたいけど。

山崎さんはさっさと帰り、そして今出前に来ただけの僕も帰っていった。
つまりはぼくら達だけ残ったというわけで、


『…もう1回言っとくけど俺ァ坂田銀時、ここのオーナーだ。お前等のこと養ってやるけど贅沢できると思うなよ』

『どうも、志村新八です。僕は家からここに通ってるんだけど基本はここにいるから。よろしくね』

『神楽アル。私のことは工場長と呼ぶがいいネ!』


簡単に自己紹介を聞く限り、ぼくらの世界の皆と特に変わりはないらしい。
先生別世界でも金ないのか…そうゆう体質なんだろうか。というか神楽さんって苗字ないみたいなんだよね…てかぼくらより年下らしいんだよね。うわぁ、ビン底眼鏡以外の違いがわからないや。


「…鴉終です」

「…山崎、退…です」

「………高杉晋助」


名前を告げて軽く頭を下げる。混乱しているせいもあるけど、一番はやっぱり受け入れがたいのかもしれない。なれなれしく、したくない。なんとなく。

坂田さんはぼくらの様子に対して、頭をバリバリと無造作にかいたあとこちらを向いた


『あー…あのさ、まぁ色々受け入れがたいっつーのはわかんだけどよ…とりあえず、お前等それ以外服ねーだろ?』

「…まぁ、はい」

『こっちじゃその服は天人とか幕府が好んで着るくれーで一般的には着物が主流なんだよ。新しいの買う金ねーからお下がりな。新八ィ、山崎君と高杉君に着物貸してやれ。…鴉ちゃんは俺と一緒に来てくれるか?』

「…はい。」

『銀ちゃん終と2人きりになってなにするつもりアルカ!』

『なんもしねーよ!?誤解招く言い方すんじゃねーよ!ババアんとこに着物貰いにいくだけだっつの!』


畜生、さっさと行くぞー!、そう声をかけてくる坂田さん。やま…、退君と晋助君に少しだけ視線を向けて、すぐに坂田さんに続いた。

たった少しだけなのに、離れるのが怖いと思ったのはぼくがきっと弱いせいだ。




ぼくらと着物
(…なぁ鴉ちゃん?)
(、はい?)
(嫌なら嫌だっつってもいいんだぜ?)
(いえ別に。着物ないと困るのぼくだし)
(…そうか)