仕切りなおし。今はきちんと皆席についている。
…というかソファとテーブルは全部避けた。そして座布団をしいて床に座ってる。それが今の状況だ。


『―とりあえず知ってるだろーが俺ァ坂田銀時。万事屋の主だ。』

「え?」

『…?どうしたよジミー2号?なんか俺変なこと言った?』


変なこと、はたぶん言ってない。なんとなくは皆気づいてたけどスルーしてたこともあっていざちゃんと聞かされるとん?と思う。
まぁ外見全く一緒で声も一緒で名前が違うってなると、ん?ってなるのはしょうがないと思う。

言いよどんでいる山崎君にかわってぼくが口を開く。


「…それ、本名だよね?」

『嘘ついてどーすんだ』

「……ぼくらのところの坂田先生の名前は、【坂田銀八】なんだよ。だからきみと先生の名前が違うことに少し混乱しただけだからあまり気にしなくて良い。」


ここにきて、有る意味はじめての違うもの。
所属とか年齢とかいっぱい違うのはあったけど名前と容姿は今のところ寸分違わず皆同じだった。いや少しふけてたり大人っぽかったりはあったけど。

でも、だからこそだろうか。この違いに戸惑いを覚えるのは。

違いなんていっぱいあったはずなのに、先生似の彼の名前がたった一文字違うだけで自分はここまで動揺できるのか。知らなかった。つまりぼくは不安なのだろうか?もしくは焦ってる?うーん、感情はよくわからないなぁ。でも、山崎君も高杉君も酷く戸惑っているのがわかる。土方君と沖田さんも同じくらい戸惑っているようには見える。つまり、ぼくも戸惑っているのだろうか。わからないから、この話は置いておこうと思う。


『…まぁ、いいだろ。とりあえずこっちの3人は預かってやらァ。…生活費送れよ』

『…真選組ソーセージならここに』

『いらねぇよ馬鹿が!』

「…土方君と沖田さんは僕…彼女にお世話になる方向でいいの?」

『僕はそれでもかまわないけどね…、ただ、うーん。一つだけ問題あるけど、大丈夫かな?』

「…問題?」

『ああ、うん。もう昨日のうちに2人には言っちゃったけどさ。こっちにはもう“沖田ミツバ”は存在しないんだよ』


さらりと言えば、僅かだが坂田せ…さん、と山崎さんが固まったのがわかった。一瞬だったけど。別な意味で山崎君と高杉君も固まった。土方君と沖田さんは、少し視線を逸らしただけだった。


「…それはつまり死んだという意味?それとももともと存在していないという意味?」

『後半なら何も問題はないと思わないかい?』

「まぁ、そうだよね」


少し沖田さんに視線をずらす。だが特になにか変わった様子は見られなかった。2回目だからかもしれない。まぁ、いいか。なにかあったら土方君がどうにかしてくれるはずだ。


『まぁ、そんなわけであってね。こちらでも沖田ミツバは沖田総梧の姉として存在していたんだよ。退少年はわかるよね?物語はある意味最悪な形で幕を閉じた。ただそれだけの話なんだけどね。詳しくは知らないよ。僕は沖田ミツバが病気で死亡したことしか聞かされていないからね。』

「何が言いたいのかまとめて言ってもらえると嬉しいよ」

『つまり僕は定食屋をやっている。僕の店には沖田総梧も土方十四朗もやってくる。以外と真選組に御贔屓にされている。ここまでで察してくれると嬉しいなぁ』

「…へぇはぁそう。大体こちらと人間関係等は一緒なんだねふんふんわかったよ理解したよつまり問題はそれだけなわけだ。でもそれなら別に奥の方にやっておけばいい話だと思うんだけどなぁ」

『できれば働いてほしいんだよ。僕の知っている沖田ミツバより若いけどやはり若い子、しかも可愛い子がいれば客足もよくなるからね。あと土方少年もいろいろ問題があるけど…まぁ彼の場合親戚とでも言えばいい話だからいいか』

『あーそろそろお2人さん1回喋るのやめようか。銀さん凄い空気だからねー神楽達なんて1回しかセリフ言ってないからねー』


ぼくと僕が有る意味マシンガントークを続けていれば、坂田さんからストップが入ってしまった。相手が僕だから結構話やすいんだけどなぁ。まぁ、今度また話せばいいわけだ。むだに回りくどい話に付き合ってくれるかもしれない。

僕の方も思考が完結へといたったのか2人して同じように口をつぐんだ。


『あーまぁ大体わかっただろーけどよォ、つまりそーゆーこった。』

『どーゆーことですか、意味わかりませんよ銀さん』

『…山崎と高杉と鴉を俺等が保護。土方と沖田を終が保護。真選組は生活費用を俺によこす。ジミーは終のとこに2人増えたことは報告しない。っつーこった。』

『えぇ!?報告しないと俺怒られるんすけど…』

『すんな。これ以上問題増やしてどーすんだ』

『…せめて土方さんが増えたことだけでも、』

『だめだ。それで確認にきちまったらもともこもねーだろーが』

『まぁ時が来るまでは隠しておいてくれないかな退君よ。どうせ一生隠してなんておけないんだからさ。自然に時間が来るまでの間だけだよ。僕は彼女を、彼に会わせたくはないんだから。それは君も一緒だろう?』

『………はい、わかりました。』


山崎さんが沖田さんを見たのを確認しつつ、ぼくは坂田さんに視線を向ける。次に夜兎さん、志村さん、僕…。

全員を見わたしてみたが、やはり違いがわからなかった。格好とか、そうゆう違いなら簡単に見つけられるのに。
やっぱりこれが同一で全く別の由来なのだろうか。ああなんて面倒なことに巻き込まれているんだろうか。平凡は嫌いだけど、非凡がすきなわけじゃないんだよ。


「…高杉君、山崎君」

「…なんだァ?」

「どう…したの?」

「……いい加減呼び方がごっちゃになってきて大変なんだけど、どうすればいいかな」

「「………」」


く、くだらねぇ…!と言いたげな2人の表情には気づかずに、ぼくはごっちゃになりつつある名前を頑張って整理していた。

ああ、面倒くさい。




ぼくらと御話
(とりあえずは決まった)
(さて、次は呼び方を決めていいかな?)
(…んなくだらねぇこといつでもいーだろーが)