■ 真実まで後一歩
「、………刑部。どこか行くのか?」
「…三成か、前にも言っておいたろう。野暮用よ、野暮用。」
ヒッヒと楽しそうに笑う刑部の姿に、そうか。と一言だけ返事をする。
そうか。そうだったな。そういえば、今日だったな。
すっかり忘れていた、と思いながらも刑部を見送る。
彼が、裏を作り固めるまで、あと数日。
▽△
「………ひまだ」
刑部がいないと酷く暇だ。執務さぼっても怒られないし。いや怒られたいわけでもないのだが。どんなに頑張って串で城を作ったところで遠慮が入った褒めの言葉を貰うだけにすぎない。いやまぁ刑部に傑作を壊されたいわけでもないのだが。
けれども、まぁ、こうしてみると普段自分がいかにくだらないことをしていたのかがよくわかるわけで。
「団子でも食いに行くか…いや、あの後刑部にむっちゃ怒られたしな…墨汁で頭染めてったんだから完璧だと思ったのに…」
そういえばあの団子屋であった人、凄い声聞き覚えあったんだけどなぁ…顔は見えなかったけどなんとなく全体的に見覚えがあったようななかったような…気のせいか?
でもあいついいやつだったなー…顔も知らぬ兄を見つけたら教えてくれるっつってたんだし。私も兄を探している妹がいたら教えてやるっつったけど。…妹と、兄か……。
……兄の野郎がこっちいたら、やっぱ私のことを探してくれるのだろうか?
「…あいつなら普通に探してそうだよな…いや、今現在探している私も人のことは言えないが……」
そういえば私は成り代わりだったわけだから、兄も誰かに成り代わってたりしてな。
刑部とか?いや、あいつはあんな口上手くないしな…あいつがなれるとしたら、真田…テンション的には長曾我部に伊達も…猿飛とか、忍は100%向いてないからそれはなさそうだしな…。
…私が三成だから、まさかの家康とか?
「…いや、まさか…な?」
少しありそうで怖いなーとか思い名がらも、まじめに執務をやることにした。(俺超偉い)
真実まで後一歩
(…なぁ忠勝、俺今思ったんだけどさ…)
(………やっぱなんでも、ねぇや)
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