■ つまるところ、僕は『権現』なのさ。

子供な自分が嫌いだったわけじゃない。未熟な自分が嫌いだったわけじゃない。ひ弱な自分が嫌いだったわけじゃない。甘い自分が嫌いだったわけじゃない。臆病な自分が嫌いだったわけじゃない。弱虫な自分が嫌いだったわけじゃない。泣虫な自分が嫌いだったわけじゃない。他人に頼る自分が嫌いだったわけじゃない。人質になる自分が嫌いだったわけじゃない。他から力を借りないと何もできない自分が嫌いだったわけじゃない。期待されない自分が嫌いだったわけじゃない。

大きくなったら全部できないことだと知っていた だからとにかく甘えてた

大人な自分が嫌いだった。強い自分が嫌いだった。未熟じゃない自分が嫌いだった。甘えられなくなった自分が嫌いだった。怖がれない自分が嫌いだった。本音を出せない自分が嫌いだった。大きな力を持った自分が嫌いだった。泣けない自分が嫌いだった。自由にできない自分が嫌いだった。人質になれない自分が嫌いだった。弱さを見せられなくなった自分が嫌いだった。全てを纏める自分が嫌いだった。他人に頼れなくなった自分が嫌いだった。期待される自分が嫌いだった。


「?どうしました家康様、お疲れですか?」

「いや、すまない。少し物思いに耽っていただけだ。」


笑顔で返せば、彼も微笑むをの知っていた。誰も気づいてくれないなんて昔からわかっていた。でも昔はまだ、気づいてくれる人が多かった。だんだん少なくなって、最終的には、


「!!!!!」

「どうした忠勝?…何?独眼竜がここに…?」


…そうか、つまり同盟の申し込みとかそこらへんか。伊達政宗の東軍入りは変わらなかったか。…西軍に入るわけがないとは知っていたけどな。

そうか、わかった。今すぐ向かおう。
笑顔で忠勝に言えば、彼は返事をして飛んでいく。やはりもう彼も気づいてくれないか。それほどまでに上手くなったのか、それとも、


「おっと、考え事をしている暇はなかったな…さて、行くか!」



おれはただのこどもだということに きづいてくれないみんながきらいだった
(昔はどんなに涙を隠して笑っても)
(絶対気づいてくれてたのにな)

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