■ つまるところ、僕は『権現』なのさ。
誰かが言った。
「もうやめにしませんか」
誰かが言った。
「我等で立ち上がりませんか」
誰かが言った。
「我等はもう弱小ではありませぬ」
誰かが言った。
「竹千代様は大層お強くなられました」
誰かが言った。
「今こそ徳川の天下をこの地に」
誰かが言った。
「竹千代様ご判断を」
誰かが言った。
「我等はもう傘下じゃなくても大丈夫」
誰かが言った。
「竹千代様も勿論賛成ですよね」
誰かが言った。
「暴動を繰り返す豊臣にはついていけませぬ」
誰かが言った。
「我等の手で止めてみせましょうぞ」
誰かが、言った。
「竹千代様」「家康様」「徳川家康様」「竹千代殿」「徳川」「徳川様」「家康殿」「竹千代」「主」「徳川家康殿」「大将」「徳川殿」「家康」「徳川家康」「竹千代、」「竹千代様」「家康様」
「…ああ。そうだな。豊臣の暴動は、許せないな」
『俺に選択の余地など、はじめからなかったではないか』
「我等はもう弱小ではない。わしも、強くなった。」
『何を戯言を、俺は今も昔も弱いままじゃないか』
「この世に平和を!」
『むしろその過程が最早平和とは呼べないじゃないか今も十分平和じゃないか』
「暴動を繰り広げる豊臣に謀反を!」
『暴動を繰り広げているのはどちらだというのだろうか』
「徳川家康、これより天下取りに名乗りをあげる!」
『零れ落ちる程の力を収めてどうしようというのか』
「豊臣秀吉を倒し、わしが平和な天下を作り上げる!」
『 このままいたいといっても だれもきいてはくれないだろうなぁ 』
その後徳川家康の謀反により、天下に一番近かった豊臣秀吉は没した。
それを知った石田三成は対徳川家康と旗を上げ、日ノ本は真っ二つにと別れた。
西軍 東軍
負けられない戦い、負けたい戦い、負けてはいけない戦い。
戦がしたくないとかそんなひ弱な言葉なんかじゃない。ただ、ただ、純粋に、
「わしは徳川家康!」
( すべてをほうりだして にげたいだけ )
( もうがまんは したくないよ )
( たいしょうになんか なりたくなかった )
( むほんなんて したくなかった )
( みんながのぞむよなんて しりたくなかった )
( いまが シアワセ なら それで )
「絆の力で、世を統べる者だ!」
( それだけでほかになにものぞみたくなかったのに )
男の心理を知る者はいまだ存在しない
(ああちくしょう)
(おれはなんてよわむしだ)
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