■ つまるところ、僕は『刑部』なのさ。

「やれ三成、飯を食え」

「いらん」

「お前が倒れちゃもともこもないぞ」

「そんなもの食う暇があったら執務をする」


……はい、冒頭でお分かりいただけると思いますがただいま頑張って飯の食わない三成に飯を頑張って、頑張って(三回目)食わせようとしています。いやぁなんだろう、この時期から食ってなかったのかとかもっと先の話だと睡眠もまともにとらないだとか性欲とか持ってなさそうだから人間の三大欲一個も満たしてねぇじゃねぇかとかどうやって生きてるんだこいつとか思っちゃうわけですよ。本当にどうやって生きていることやら。

まぁ、今はあの復讐に燃える日々でもないんで、こうして俺がご飯を食べさせにきてるわけなんですが。


「食わんと執務もできなくなるぞ」

「いらん、できる」

「………三成、」

「いらん」


何を言っても「いらん」としか返さなくなりそうだったので、しょうがないなと思い奥の手を使うことにした。


「しょうがない…“われが”作ってみたのだがいらんというなら…そうよのう、捨ててくるか」

「それをよこせ形部」


われがの部分を無駄に強調させてみる。案の定食いついてくれた三成に膳を渡せばちゃんと食ってくれた。ちなみにお腹の中に何も入っていないことからお粥と漬物くらいしかだしていない。まぁもともと少食だからこのくらいが丁度良いだろう。無理させて食うと吐くしこいつ。拒食症かっつーの。

ガツガツとよく噛まずに食っていくが、さすがにそこを指摘などできない。食うの面倒とか言われたら今度こそ本当にどうすればいいかわからなくなるからだ。


それからしばらく食の様子を観察し(2分もたたずに食い終わった気がする。食うスピードまでこんなに速いのかこいつは)食い終わった膳を持って部屋を出て行こうとすれば三成が「次から貴様が作れ」との命令。「あいわかった」と返しつつも俺の頬が緩んでいたのは隠せない事実である



うちの子大丈夫?
(三成が飯を食ったぞ)
(大谷君、さすが!秀吉!三成君がご飯食べたって!)
(聞こえておる半兵衛…そうか、ちゃんと食ったか…)
((うおお三成様がご飯を食したぞー!!))
((本当かぁー!!))

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