■ つまるところ、僕は『伊達』なのさ。

伊達政宗、東北地方の武将である。彼は極々普通に暮らしていたのだが幼少期に病を負ってしまったことは知っているだろうか?その病のせいで右目をなくすこととなった。そのせいでまるで掌返しにあったかのように彼の周りの人々の対応は変わっていった。毒を盛られ暗殺を仕掛けられなどなど。それが実母からの刺客となればかなり辛い現実であろう。そして弟も彼の命を狙った。伊達家をつぎたいだとかそんな理由だった気がする。

最終的に父を敵もろとも撃ち、母や弟を追い出した感じで終わるのだが。


急になぜこんな話をしはじめたって?それはまぁ、私がその伊達政宗に生まれ変わってしまったからで、上記の内容をこなしたからである。といえばいいだろうか?
けど、まぁ、一つだけ追記してほしい。彼の伊達政宗には、右目と呼ばれる片倉小十郎が一緒に支えてくれているのだ。本来ならば。

そう、本来ならば、彼は私を支える役目である。
だが、なんということか。彼は私を支える以前にこの世界に存在しないではないか。

これはおかしいと思った。なぜかというと、これは戦国BASARAというゲームの中の伊達政宗に成り代わったのだ。そして、その戦国BASARAというゲームには片倉小十郎というキャラクターが必ずといっていいほど伊達政宗の右目として出てきていた。そんな彼が、なぜ存在しないのか。それはきっとこいつのせいだと思う。


「Hey夜!起きろ、朝だぜ!」

「その名で呼ぶなと幾度言えば貴様はわかるのだ原作(オリジナル)よ」

「てめぇこそそれで呼ぶなよ。こんの偽者(コピー)が」


大丈夫だよ。結局私等以外には意味等通じないのだから。というか偽者とかいてコピーと読むのはやめろとこちらも幾度となく言っているのだが全く聞く様子がないとみた。


「Hum…とりあえずよぉ、伊達政宗。飯だ。」

「わかってるって、んじゃ行こうか。片倉藤次郎。」


片倉藤次郎、それが原作の今の名前である。勿論外見は原作と全く同じだ。右目に眼帯をしていて、六刀を持っている。一つ言っておくが私が病に犯されなくした目は左目だ。刀は2本。あとまぁ暗器が多数。少ないとかいうなよ。
話を戻そう。原作である彼は自分がどの立場に立っていたのかを全て知っている。知っている上で私がこの立場に立っていることに関して何も言ってこない。いや、まぁ昔はかなり喧嘩しまくっていたが(私も私で混乱していたからな…今思い出すと恥ずかしい)今じゃあ…まぁ仲良しだ。悪友程度に。よく一緒に悪戯して喜多に説教くらいぐらいには。保護者がこい。私とこいつでは悪乗りする一方だ。誰も止める奴がいない。城にいるときは喜多が止めてくれるが戦中とか誰も止めてくれない。筆頭と副長の言うことに間違いなんかねぇ!いくぞおめぇら!みたいなノリ本当にやめないか。間違いまくってるから私ら。


「今日の飯はなんだね藤次郎少年」

「魚と飯と味噌汁だ。あと俺お前より年上だからな。」

「わかめは入っているだろうな。たかが三つだろう。」

「ふも入ってるからちゃんとくえよ。されど三つだ。」

「ついたぞ」

「ついたな」


会話を終了し部屋に入れば、膳がおいてある。作ったのは藤次郎だ。まぁ昔のあれのせいで藤次郎がなぜか飯を作ることになりそのうえ料理というすばらしさに目覚めてしまい今や趣味と化している。まぁいいことだと思うけど量いっぱい作るなよとは思う。


「さて、じゃあ食うか」

「そうだな。」


箸を持って両手を合わせる。もちろんいただきますだ。そして、2人一緒に箸を――天井にぶん投げた。


「ぐぁっ!?」


落ちてきたのは忍。うまいぐあいに目にクリーンヒットしたらしい。うっわーいたそー。


「さてと、どうする藤次郎?」

「飯無駄にしなかったことだけ褒めてやろうぜ。とりあえずこいつの目はもう駄目だし、箸先に毒塗ってたのが仇んなったな」

「ぐっ…気づいて…」

「残念ながら私と藤次郎に毒は効かない。それ以前にまぁ気づくんだが、もし気づかないで口に含んだとしても毒は効かないぞ。」

「ハッタリじゃねーぜ?これに懲りたらもう二度と毒殺なんて考えんなよ、っつってももう遅いだろうけどな」


自害した忍から持っている物を物色する。こうして私の暗器は増え続けるのだ。昔から忍が耐えないからさ、補充も楽で楽で仕方ない。

毒薬やら解毒薬やら手裏剣やら苦無やら、とにかくありとあらゆるものを盗る。そういえば1人だけだったな、つまりこいつはいらないから捨てられたということか。きっと新人だったのだろう。私達のところによこされ、しかも毒で殺そうとするだなんて新人以外にありえない。


「さて、じゃあ飯に戻るか。味噌汁が冷める。」

「喜多ー箸くれ箸ー、また毒塗られちまってよー」

「あらまたですか?っていうか2人共毒が効かないのですからそれを使えばよろしいでしょうに。毒って落とすの大変なんですよ?」

「それはあんまりじゃないかな喜多。確かに毒は効かないけどやっぱり微妙に痛いんだぞ。」

「だってあなたたち昨日もその前も箸に毒塗られてるのよ?何度もいいますけど落とすのが大変なんです。」

「忍に文句言ってよ」

「鼠は殺す前に必ず言ってますよ」


…言い忘れていたが喜多はめちゃくちゃ強い。そして元忍だ。いや今でも全然現役でやっていけるだろうが女中として働いていたほうが何かと都合かいいらしい。まぁ喜多が元忍だということを知っているのは私と藤次郎くらいのものなのだが。一応藤次郎と喜多は姉弟だからな。知ってて当たり前というか、なんというか。

そして鼠というのは隠れている忍あるいは女中に紛れている敵のこと。喜多はそれを見つけるたびにこそっとぶち殺しているのである。喜多怖ぇ。


「…あぁそういやさ、今度武田と上杉の戦乱入しようと思うんだ。」

「Bu!ず、ずいぶん急だなおい…いやそろそろだとは思ってたけどよ、そんな厠行ってくる的なノリで言い出すなよ。軽いぞ。」

「オリジナルのきみならわかるだろ。そろそろ流れに乗ってもいいんだよ。勿論乗らなくても全然いいんだけどな。」


でも、オリジナル。お前は乗りたい派だろう?
そう挑発染みた笑みを向ければ、やつもにんまりと口に弧を描いて返事を返す。


「そりゃあな、俺はあの赤い虎と、戦いてぇ」

「そうか、私はどちらでもいいんだが戦うのなら迷彩と戦いたかったところだ。利害の一致ということで、攻めるぞ。」

「Ok、pretyの始まりだぜぇ!」


がたり、立ち上がった藤次郎。あ、おい今立ち上がると…

シュパンッ
藤次郎の頬を掠るようにして、苦無が壁につきささる。苦無が飛んできた方向をみれば…喜多がいた。


「藤次郎、ご飯中は?」

「…きちんと座って食しましょう」

「よくできました」


…やっぱ喜多最強じゃね?と思う今日この頃であった。



2人の独眼竜
(…おい藤次郎、ふとわかめ交換しn)
(だめだ)(だめです)
(…ふってもひゅもひゅしておいしくないんだもん…)

***
ふが食べれないのは管理人である←
なんとなく俺得設定。小十郎の位置に原作政宗がいます。そしてよく他国に原作政宗が伊達政宗だと勘違いされます。派手だし。眼帯してるし。
主人公はなんか忍だとか家臣だとか小姓だとかに勘違いされます。まぁ原作政宗とよく一緒にいるし。地味だし。暗器使うし。しょうがないかもしれない。

[ prev / next ]