■ 頑張りどころ
「おい刑部!刑部うううう!!」
「…やれどうした三成」
「見ろ!私の傑作だ!!」
声に反してかなり丁重な動作で三成がわれに見せたのは、なぜか団子の串が縦に積んであるものだった。いや、確かに凄いがぬしは執務をサボって何をしておる。
「凄いだろう!一本立てるのも頑張ったが上に乗っけるのも頑張ったんだぞ!!」
「ああ凄い…凄いがぬし、執務は?」
「ああ!なんでこんなときに携帯が無いんだ!写メって朝や友達に送りつけるというのに!こんなときだけこの世が恨めしい!!」
三成はたまにわけのわからぬことを言う。というかぬしに友達なんぞおったのか、知らんかったシランカッタ。というかぬしも小声で叫ぶという微妙な技を得とくしおったのか。ついでにその串どうするつもりよ。そしてわれの話は無視か。
「どうすればいい、どうすればいいんだ刑部!誰かに見せ付けたい!!」
「われが見たからよいだろう、第一他の者に見せるとなるとこの状態を維持しなくてはならぬ。それは無理難題よの」
「…ふむ。そうか……そうだな。とりあえず家康残滅してくる。」
「待てい三成。そうやって執務放棄は認められぬ」
「いやそんなことないって帰ってきたらちゃんとやるって明日あたりやるって」
「昨日も聞きおったわ、それ。今日は認めぬ。やれ」
「………チッ、オカンが(ボソッ」
「なにか言いおったか?三成」
「すんませんなんでもないっす執務やってきまっすだから球収めろ」
「……ふむ。ちゃんとやったらお八つは大福にしてやろう」
「え?まじで?まじでまじでまじで?よっしゃみっつん頑張っちゃうぜー!!」
「…まるで子供よの」
大福につられてやるとは、まるで子供のよう。
というかたまに性格が急変するのはなぜなのか、わからぬ…。
…まぁ、まじめに執務をやるならよいか。
頑張りどころ
(やれ三成、お八つを…)
(刑部!刑部!見てくれ!本で城を作ったぞ…ってアーッ!)
(まじめにやれや!!)
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