■ 西軍保護者組の保護者的会話

「ぎょおおおおおぶうううう!!」

「すぅわすぅくぇえええええ!!」

「ひめわこおおお!早くせんと貴様の過去を暴くぞ!」

「今作ってるから待てって言ってんでしょおがああああ!!」

「作り始めたばっかだろおがあああああ!!」

「…ぬしらも大変よのう」

「あはー…大谷の旦那もね」

「ぬしのとこのよりは食わんしわがままでもないから楽よ」

「あの3人揃わなきゃ三成って基本大人しいよな」

「食に無頓着だからねー」


常人ではとてもありえないスピードで団子を丸める猿飛佐助。その隣では大谷吉継がぷわぷわと何個か団子を浮かせながら串に刺し、またその隣では長宗我部元親が団子につける小倉等を作っていた。

そう、今日はなにを隠そう上田城に遊びにきたのである。


「大体旦那はさー…俺様をなんだと思ってるわけ?忍よ俺様?」

「んなこと言ったら一応敵国の大将に毎回甘味作らせてる毛利は一体なんなんだ」

「鬼の旦那、それは毎回律儀に作ってる鬼の旦那がおかしいと思うよ」

「ヒヒッ、ぬしらは相変わらずよのう」


手を止めず、うちの子最近かくかくしかじかなのよぉ。あら?お宅もぉ?私のところも最近ねぇ…。あらあら皆さん大変そうねぇ…。と、会話をする姿はまるで近所のお母さんたちの会話のようで。その姿こそが彼等を保護者というカテゴリーにまとめられる原因なのだが、全く気づいていないようだ。


「大谷の旦那んとこはいいよねー、あんまり手かかんなくてさ。」

「あー我侭も言わねぇしなぁ…本当、毛利は1回あいつの爪の垢煎じて飲めばいい。」

「いや…でも引きこもるのはやめてほしい。本当にやめてほしい。」

「あー、でも最近は徳川の旦那のお陰で結構引きこもってないんじゃないの?」

「それがのう…余計部屋から出てこなくなった」

「被害倍増ってやつか。あいつだから前より肌白いのか」

「ちゃんと食ってる?やせたでしょあれ」

「食うのを面倒くさがって疎かにする。その上徳川のせいで運動するから…」

「食っても食わなくてもそりゃやせるな…運動と飯の量が吊りあわねぇ」

「どんなに警護を固めても夜這いに来るから最近まともに寝ることもせぬ…」

「それも加わってあんな肌白いのね…ってちょっとそれ危なくない?」

「果てしなく危ない。だから今日こうして気分転換にでむいたのよ」

「…ここにいること、家康にゃぁ…」

「知らせるわけがなかろう。…だが、あの狸のことよ。」

「くるよねー…まぁそうなったら一応俺様も止めるけどさ」

「俺も手伝うぜ!」

「われも出向く、絶対あの狸を三成に近づけさせぬよう…」

「「わかってるって」」


「ぎょうぶううう!」

「さすけええええ!」

「ひめえええええ!」


「今持ってくから待ちなさいって!」

「ひめっつーなばかやろおおお!!」

「やれやれ…元気よのう」


できた団子の山を手分けして持ち、彼等はまんざらのない顔で子供たちのもとへ行くのであった。



西軍保護者の保護者的会話
(佐助!遅いぞ!)
(いつもより最高に早いからね!?)
(全く、とろい鬼だ。)
(作らせた手前そりゃねぇだろ!?)
(刑部、叫びすぎて喉痛い。どうしよう。)
(楽しむのもいいがぬしはまともな生活をしてない、気をつけよ。)

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