「佐助君が料理に目覚めた」
「OKならば総動員でフォローに回ろう」
「ついでにお菓子作りにも目覚めている」
「OKならば総動員でパーティーだ」


二つ返事で今日はズバッとドバッとパーティーすることが決まった。
どっちにしろ明日から夏休みだしいいか、ということでパジャマを持ち寄りパジャマパーティーだ。
男しかいないパーティーって実際どうよ?と思うところだが諦めるとする。




「…ということで、未央んちついたぞー!パーティーだぜー!盛り上がっていこうぜー!」
「リク、あまり煩くすると未央に怒られるぞー」
「リク君は相変わらずだねぇ」


会うのが二度目の佐助君にへらりと笑われてしまうほどリクは解りやすい性格なのだろう。俺がちゃんと忠告してやったのにも関わらずチャイムを連打なんかしてその後逃げようとするから未央にコテンパンにされてた。やっぱ頭いいけど馬鹿だこいつ。


「佐助さんこんにちは」
「未央君こんにちはー」
「今日はリクと俺で一緒に色々なもの作りましょうか」
「作り方とか正直知らないけど、できる限り手伝うよ」
「じゃあ俺も一緒に…」
「「「或人はダメ」」」


まさかの3人揃っての禁止令に或人さんブロークンハートだぜ…。
少し遠いところを見ながら言ったが3人共総スルーで台所に入っていった。………寂しくなんか、ないぞ。ああ、寂しくなんか無い。

なんか視界がセルフエコノミーだぜーと呟いたが残念なことに3人の楽しそうな声にかき消されていった。


「………まぁ、3人が楽しそうならいいかな」


リクの馬鹿騒ぎと未央の辛辣な毒舌。そして佐助君の悪ノリor諦めた笑みor制止。
いいトリオじゃないか。その声もまた、彼等には届きはしなかった。



▽△



「つーことで無事全部完成!信じられない出来になったぞ或人!」
「いやー結構楽しかったよ」
「佐助さん予想以上に料理うまくてびっくりした…!」


お菓子やつまみやご飯、明らかに4人で食える気はしない料理を彼等は作り上げたらしい。凄くやりきった顔をしていた4人を俺は生涯忘れないだろう。


「それにしても凄い出来だなー…ついでだからうpるか」
「うぷる?」
「俺のやってるブログにアップすんだよ、っつってもたぶんわからんだろうから…皆が見れる日記に貼っとくんだ」
「日記なのに皆に見せるんだ?」
「まーな」


適当にデジカメで凄い料理の数々を撮って、あとはPCに移してブログに掲載すれば感性。
4人が楽しそうに料理をしている間に実はもうこれからお泊りなんだぜふっふーみたいな記事はもう更新しておいたから、料理写しても特に問題はないだろう。

…ついでだから、皆で一枚お泊り記念としても撮っておくか。


「ねぇ」
「ん?」
「隙を見せたな」


適当に声をかけて、こちらに反応したところを一枚。
佐助君はなにが起こったのかよくわからない様子だったけど、まぁライトも音もOFFにしてたから身構えなくてよかったよかった。
今度原像したらくれてやるよ、と一言残しデジカメをしまった。佐助君の始終よくわかっていない困惑した表情が正直笑えた。


「まぁ、食おうぜさっさと。冷める」
「それもそうだな!今夜は徹夜でパーティーだ!」
「そういって一番最初に寝るのリクだけどね大抵」
「いや、お前等大体同時だぞいつも」
「喧嘩するほど仲がいいってやつ?」
「リク如きと仲良いとか…一生の不覚」
「なにそれブーム?」


片手で顔を隠し、天を仰ぎながら言う未央にそうつっこめばよくわかったねなんて返ってくる。まぁ、この間から使ってたらそりゃブームだと思うだろうよ…。

騒いでるリクと毒を吐く未央をスルーしながら、近くにあったクッキーを齧った。
うん、本当だ。凄くうまいや。最近佐助君が嫁に欲しくなってきたぞ。もちろん家事的な意味でだけど。


「ちょっと或人君!この2人止めるの手伝ってよ!」
「俺、怪我したくない。佐助君、頑張れ」
「カタコト口調超むかつくわー」


目が全く笑ってない笑みを向けられるがここは得意のAKYで乗り切ることとする。
佐助君、案外怖いぞお前。オカン属性=優しいとは思ってなかったけど…あれか、笑顔の裏には影がある属性かお前。


それから料理をつまみながらゲームをしたり、テレビを見たり、まぁ普段家にいるのと殆ど変わらない日常を過ごした。
途中リクが酒なんて持ってきてノリノリで飲んだ後ノリノリで真っ先に寝たから踏んだけど俺は何も間違ってないと思う。

それで今は、リクも未央も死んだ(寝た)ので佐助君と2人で酒盛りでありんす。


「未成年の飲酒はダメなんじゃなかったっけ?」
「守ってるやつなんて殆どいねーさ、親に頼めば買えるしな」
「ふーん…というかこの2人弱いねー」
「弱いけど好きなのと弱い上に嫌いなのだからな。まぁ俺も強いとはいえないけど」
「まぁまだ2本目だもんねー或人」
「ゆっくりちびちび飲むタイプなんですぅー」


ぐぴり、と一口また飲む。その間に佐助君は空になった空き缶をゴミ袋へと捨てていた。律儀だ。
俺等の趣向で今ここにある酒はチューハイだけだけど、佐助君の時代にそんなのあったわけないと思う。でも何も言わずに飲んでるっていうことはきっと飲めなくはなかったんだろう。今度焼酎でも用意するべきだろうか。

これ飲んだら俺等も寝るか、というとそうだね、と返ってくる。

ぐおっと鼾が聞こえたけど、まぁそれもまた一興ということで。





(明日はバイト入ってるから早く帰らないとなー…)