あれから軽く色々と話して、互いの名前を交換して、服や布団や家事分担などをついでとばかりに決めてしまった。
どうやら彼は結構明るい性格らしい。ころころと表情が変わる、とは言わないが笑顔でへらへらしているところを見ると学校に1人はいる人気者の近くにいる、それっぽい感じで仲間入りしている子によく似ていた気がした。


「佐助君や、俺は学生であり1人暮らし中真っ只中なのだよ」
「がくせーってのは確かぎむきょーいくで学を学ぶところだっけ?」
「高校は義務とは少し違うけど、まぁそんな感じ。そして1人暮らしということは全ての金は自分で払わなくちゃいけないんだ」
「年貢みたいなもん?」
「まぁそんな感じ。だから俺基本朝から夜までいないことが多いと思うんだ」
「朝ががっこーで夜がばいと、だっけか?」
「そうそう。でも夜のバイトっていっても未成年だからたかが知れてる時間だけどな。この短い針が10をさす前には必ず帰ってくる」
「了解ってね。で、俺様はその空いてる時間は好きに過ごしていいと」
「そ。でも明日すぐに外出る、とはかあまり進めないぞー。文明の利器に一々驚いてると不審者扱いされるからな」
「出ても周辺にしておくって、俺様も目立つのは避けたいからねー」


へらへら笑って肯定しているが、ちゃんと理解してくれているんだろうか?まぁ別に不審者扱いされても困るのは俺じゃなくて主に佐助君なのだからいいんだけどさ。
でも佐助君、きみのその願いは主に叶わないと思うよ。現代の女子は肉食系だからね。逆ナンにでも会いまくるんじゃないか?あ、なんかむかついてきた。イケメン爆ぜろ。

とりあえず時間も遅いので布団を適当に出して、適当にスウェットを貸した。
スウェットのあまりのぶかぶか感に凄く着心地が悪そうにしてたけど知らない。だってパジャマにきっちりした服とか普通着ないから持ってない。
彼のもと着ていた服はいまだビチャビチャなので、結局その服を着るしかないのだからさっさと慣れてもらおうと思う。


「じゃあ、佐助君。この時計が煩い音を発しても壊さないように」
「…むしろ俺様が壊すまえに今にも死にそうだね、そっちのとけいってやつは」
「毎朝格闘してるからな…必然的にこうなってしまうのだよ」
「或人君って朝起きれないタイプでしょ?」
「あ、わかった?」


毎朝起きれなくてこれ壁にぶん投げたり酷いときは微動だにしないからねー、そうけらけら笑いながら言えばでかい溜息を疲れた。
なんか凄くこいつから保護者的な視線で見られるんだけどさ、絶対こいつオカン・オトン属性だと思うんだよね。

高校にないから着せられないが、給食着着せたら似合いそうだと思ったのは内緒だ。


「んじゃ明日早いから俺もう寝るなー」
「はいはいおやすみ、これ引っ張ればいいんだっけ?」
「そーそー。佐助君、おやすみー良い夢をー」
「うんおやすみー」


佐助君おやすみ二回目だな、と思いながらも結構疲れていたのかすぐに意識は闇へと落ちていった。


「…他人家に入れた上に先に爆睡とか、危機感なさすぎじゃないこの子?」


そんなことを佐助君が呟いていたなんて、知らないけど予測はしていたりして。





(俺にとっても、彼にとっても。ね?)