傍観か、関わるか。でも生きれる気はしないからやっぱり傍観の方がいいか。わざわざそんな私が頑張らなくても、物語は変わらない。変えるために関わってもいいのだけれど、まず私にそんな力があるとは到底思えない。もしかしたら原作には出てこない属性持ちとかあるかもしれないとちょっとあの頃に戻って期待を抱いてもいるけれど、人生そううまい話はないのだって知っている。

てなわけで、お昼です。ぼっち飯をしながらいろいろ考えてます。

入学早々ぼっち飯とか寂しい限りだ。親も来なかったし、哀れにみちた目で見られそうで正直つらい。ぼっち自体はまぁ平気なんだけれど、やっぱり他人から同情の目で見られるのは鬱陶しいわけで。
かの山本武君は早いことに、もうお友達を周りにつけて楽しく食べている。部活の話とかもしている。対して遅刻寸前で入ってきた茶髪ことこの物語の主人公は、私と同族ぼっち飯だ。彼の憧れの人は楽しく飯を食っているけれど、まだそうなっていないのか彼はチラ見することもなくしょぼしょぼと飯を食べている。ダメツナへの一歩はこうして紡がれていくのか、と思いながらも、私が声なんてかけるはずもなく一人淡々とご飯を食べ終えた。ごちそうさま。

「…そういえば、」

原作に突入するのは大体夏、だろう。半袖だったし。一年の夏って、そう考えると結構はやい。夏になるまでに彼と話すとは思えないから、なにも起こらないだろう。となると私が警戒すべきは、やはり原作開始後。
運動能力も頭脳も注目されるほど持っているわけじゃない。けれど問題は、この世界に関する『知識』だ。読心術を心得ているあの家庭教師に見られれば、一発だろう。名乗られる前から彼のことを識っているのだから。一瞬でも興味をもたれたらアウト。この瞬間私の傍観ルートは完全に潰される。とりあえず、モブの反応を今日から観察しよう。同じ反応をしていれば埋もれるはずだ。まず雲雀さんと1対1での相対だけ、死ぬ気で避けよう。そうしよう。

「…あと掃除して終わり、かぁ」

なんだかやっぱり、時間の流れが速いなぁ。なんて思いながらお弁当箱をしまう。
横目で確認したら、ちょうど主人公様もお弁当箱を、しまってた。


 /