ピピピピ、と機械的な音で目が覚める。大きくひとつあくびをこぼしながら、まだ余裕がある時計を見て二度寝したくなるが我慢我慢。一回しか行ったことがない学校へのルートを頭で思い描きながら、つい癖で郵便受けを確認しにいっていた。

「チラシと、回覧板…回覧板回すんだここ。次どこに回すんだろ…、っと、封筒?」

送り人の名前は無く、ここの住所と私の名前だけが書かれた白い封筒だ。なんの変哲もないそれを少し不思議に思いながらもリビングへと行き、朝食代わりの食パンをレンジでチンしながらその封筒を開いてみることにした。



「………メッセージカード」

白い封筒の中には、たった一枚の紙だけ。しかもたった一文。『入学おめでとう』の文字だけ入ったそれに、宛はいなかった。ご入学でもなくおめでとうございますでもないとは。もしかして、親なのだろうか?わざわざ海外からメッセージカード一枚送ってよこすとかアホの極みでしかないような気がする。主に送料的な意味で。あ、そういえば親が海外のどこにいるかを私は知らない。まぁ知ってもきっとこの先の物語には影響はないだろうから、気にしないけれど。

なんとなく気になるそのメッセージカードはそっと封筒に戻して、自室の机へとしまってと。
さて、食パンも食べたし着替えたし。そろそろ学校へと向かうとしよう。真新しい制服は着づらいものだったけれど、きっとそのうち慣れるだろう。いやまあ、私が慣れる前に制服がこたこたになるのが先だと…思うけど。うん。引きこもりにさえ逆戻りしなけりゃ。

「遅刻したら怖いし、行くか!」

いい加減現実と向き合うための一歩を、踏み出してみた。



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