相変わらず、友達という友達もできないまま、ぼっちで私は過ごしている。休日に一緒に遊びに行く友達もいないなんて本当、悲しい限りだぜ…。
普段は家から出ずにずっと引きこもり生活を送っているけれど、たまに家から出ないと日用品を買えない。通販でもいいんだけれど、さすがのたれか者の私でもそんなもったいないことできるはずもなく、こうしてちょっとしたスーパーまで足を運んでいた。

「…ちょっと、重い、かもしれない」

洗剤とかちょっとした食料品とか、お米もなかったよなぁなんて買い物カゴに考えなしに詰め込んでみたら、ちょっと持ち帰れる重さじゃなさそうなことに気づいてしまった。気づくの遅すぎた。生憎私は車は運転できません。
好奇心のままカゴをカートから持ち上げてみたら、ぷるぷると震えながらも僅かに持ち上がるカゴ。あ、うん無理。そう悟って手を離せば、ガシャンと少し大袈裟な音を立てながらカートへと戻った。

「んんん…でも往復めんどくさいし、セール品もあるしなぁ」

どうしよう、結構本気で。

「…こんなとき、」

家族でも、いたら、なぁ。なんて。
ふと、前世と言われてしまうのであろう前の私の人生にいた、からりと笑う兄を思い浮かべる。馬鹿だけど、脳筋で出来上がったような人だったから、こんなときすぐ連絡すれば走ってスーパーまで駆けつけてくれただろうに。ここで車で来ないあたりが、彼を脳筋と言わしめる理由だろう。

あー、ホームシ、

「あれ、雨宮?」
「え?」

ぱちん。引き戻される。あれ、前にもこんなこと、あったような。
声に引き寄せられるように振り向けば、そこには笑って手を振る、いつもの黒髪。なんでこんなところに、なんて言葉は出てこなくて。だって向こうからしたら私もなんでこんなところに、だろうし。まぁ買い物中だってすぐわかるだろうけど。だからそうじゃなくて!

「…山本、君」
「…ん、助っ人、とーじょーってやつ?」

にかっと笑う彼に、殺されそうです、お母さん。


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