ダメダメ一転、期待の新人ルーキー。くすぶっていた芽が上を向くとき。さあさほらほら、みてみて大空。こっから駆け足全力疾走。迷ってる暇なんてあげないよ、ほらジャンプ!ほらステップ踏んで!こらこら、転ばせなんかさせないよ。ターンを決めて、そのまま前進。ちゃんと前見て!下なんてむいちゃだめ!飛んで跳ねて走って歩いてくるりと回って、バク転でもしてみようか?なんちゃって!



「…なぁんちゃって、だよね。ほんと。」

静かな廊下をこつりこつり。遠くから聞こえるざわめきは、体育館からのものだったりして。そんなはずはないけれど。というか、この学校、どうなってるんだろうね。まぁ私が知るところじゃないんだけど。かの風紀委員長様がみたら、勝負もなにもその場にいる人全員倒して終わりなんだろうなぁ。まぁそんなことは起こらないんだろうけど。結果を知っている私は、そっと一人旅。ロンリーガールでございます。教室にいてもよかったんだけれど、うまい具合に一緒に戻ってきました感を出したい。なら体育館行けよってね、ごめんヒネクレ者なんだ。

「私がフラグ保持者ならここでばったり会うはずなんだけ、ど」

曲がり角を軽く飛び、向こう側を見る。だれもいない。そこに誰かがいた形跡さえ、残っていない。発砲音は確かにこっちから聞こえたはずなのに。うっすらと笑みを浮かべてしまう口角を下げて、ポーカーフェイス。やばいやばい。ちょっとテンション上がってる。じわじわとこみ上げる懐かしさと、あの熱が、顔を出しそうだ。

遠くから木霊し聞こえた歓声に、思わず年甲斐もなくスキップなんて、してみたり。



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